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(1996年11月16日)          




コスナーの郵便屋さん

未来の地球が舞台となった“ウォーターワールド”で興行的にひどい目にあったケビン・コスナーが、“ダンス・ウィズ・ウルブス”以来の次期監督作品で選んだのは、これまた未来がテーマの“ポストマン”です。“フォレスト・ガンプ”のプロデューサー、スティーブ・ティッシュ製作のこの映画、21世紀の放浪者が郵便配達人に成りすますというSF作品ながら、未来的映画につきもののハイテク道具等は一切なく、とても居心地のいい未来社会を描く予定だとか。今年のアカデミー賞にノミネートされたイタリア映画“イル・ポスティーノ(ポストマン)”と混同される恐れもありますが、配給元のワーナーブラザーズは、そんな疑問を吹っ飛ばす壮大なキャンペーンを計画しているようなので心配なさそうです。“ダンス・・・”でアカデミー賞を受賞した、あの素晴らしい演出力を発揮し、感動的な作品に仕上げて欲しいですね。来年クリスマス公開予定のこの映画が終わった後は、“さよならゲーム"、"フィールド・オブ・ドリームス”に続き、またしても野球がテーマの企画“フォー・ザ・ラブ・オブ・ザ・ゲーム”を検討中とのことです。





ルーカスのカムバック

“スター・ウォーズ”が映画興行記録を打ち立て、SFX(特撮)映画ブームを巻き起こして早20年という現在、ジョージ・ルーカスは次に製作予定の3部作のうち第1作目を製作監督することが決定しました。オリジナル作品の公開された1977年当時の世界配給収益記録5億ドルは、その後“E・T"、"ジュラッシック・パーク”や“フォレスト・ガンプ”に塗り替えられましたが、それ以前は考えも及ばない額でした。第2作“スター・ウォーズ/帝国の逆襲”(1980年)と第3作“スター・ウォーズ/ジェダイの復讐”(1983年)で他の監督を起用し、自ら製作へ専念したルーカス氏は、以来ハリウッドきってのプロデューサーとしてサンフランシスコ郊外に「ILM」(Industrial Light & Magic)を創設するなど、コンピュータを駆使した特撮技術の開発で数々のSF映画作品へも貢献しています。ともあれ、3つの3部作で完結するはずだったスター・ウォーズ・シリーズ9本のうち、最初の3部作以降、棚上げの状態となっていたのが復活するわけです。今年で52歳になるルーカスは口を閉ざしているものの、当初の構成どおり続く3部作が物語の第2段階となり、時代背景は第1段階の3部作より遡ります。つまり、ルーク・スカイウォーカー、ハンソロといったオリジナル・メンバーのルーツを探りながら展開する今度の映画が、いわば物語全体の序章となるもよう。この期待の新作は、来年秋からロンドン郊外のスタジオで製作が始まる予定です。





2、000万ドルの男

今やトム・ハンクスと並び、ハリウッドで好感度の高い俳優となったジョン・トラボルタは、最近、トップスターも驚くほどの契約を交し、ツキにツキまくっている様子です。契約が決まった向こう2年間の撮影予定は、(1)ホワイトハウスの内情を暴露したベストセラー小説“パーフェクト・カップル”の映画化でクリントンらしき大統領役を主演(ユニバーサル)、(2)故スティーブ・マックイーン主演の往年のヒットTVシリーズ“拳銃無宿”の映画版で主演(3つのスタジオが競合中)、(3)ロバート・レッドフォード製作の法廷ドラマ“シビル・ジャスティス”で主演(タッチストーン)、という具合で、ギャラが一作につき2、000万ドル。“パルプ・フィクション”以来、“ゲット・ショーティー"、"ブロークン・アロー"、"フェノミノン”と、どれも売上1億ドル以上の大ヒットを飛ばしてきたジョンは、これらの3企画以外、既に5本の主演作を撮り終えるか間もなく完了します。年末から再来年にかけて公開される、それらの映画とは・・・・・・

#1“マイケル”→ 酒飲みでジャンク・フード好きの天使役。撮影終了済みで今年のクリスマス公開予定。ウィリアム・ハート共演でギャラが1、200万ドル。 
#2“シーズ・ソー・ラブリー”→ ショーン・ペンとロビン・ライト夫妻主演作。友人のニック・カサベッテ監督への友情出演。撮影終了済みで1977年秋公開予定。俳優協会最低賃金に規定されたギャラ。
#3“マッド・シティー”→ 非常事態へ巻き込まれるガードマン役。11月中旬撮影完了予定で1977年春公開予定。ダスティン・ホフマン共演で2、000万ドルのギャラ。
#4“フェイス・オフ”→ テロリストに成りすまして敵を欺く警察官役。11月下旬撮影開始予定で1977年夏公開予定。共演はニコラス・ケイジでギャラが2、000万ドル。
#5“バトルフィールド・アース”→ ジョン自ら信仰するサイエントロジーの創始者、エル・ロン・ハバードの小説の映画化で、宇宙人の侵略から地球を救う無法者役。1977年12月撮影開始で1988年公開予定。ギャラが2、000万ドル。


・・・・・・と、どれをとっても話題作ばかりです。ちなみに“パーフェクト・カップル”の大統領役は、トム・ハンクスが降りた結果、巡ってきたもので、公開された時、そういう背景をインプットしながら鑑賞するのも一考では? 出演し過ぎでファンが飽きないかという懸念など、ものともせず破竹の勢いのジョン、20年前ビージーズのサウンドにのって白いポリエステルの3ピース・スーツでフィーバーった青年は、今や世界中の老若男女に愛される魅惑の中年男性へと大いなる変身を遂げました。





ソニーの悲鳴!

1989年にコカコーラ社よりコロンビアとトライスター・スタジオを34億ドルで購入したソニーながら、当初雇った2人の社長、ジョン・ピータースとピーター・グーバー("バットマン"のプロデューサー)から散々な目に遭うばかりか、彼らの元秘書が書いた「ひき逃げ! いかにしてソニーがハリウッドでピータースとグーバーにただ乗りされたか」という暴露本まで出版されています。トライスター会長のマーク・キャントンに至っては、不作“ケーブル・ガイ”の主演ジム・キャリーへ2、000万ドルという破格のギャラを支払い、それがハリウッドの給料システムを脅かした結果、業界のひんしゅくをかう始末。最近発表された向こう1年半の予定は、ゴリラを養子にする女性がテーマの“バディー"、殺人蛇の物語で“アナコンダ"、そして正体不明の“ビバリーヒルズ忍者”といったラインアップで、これらの企画からあまり変革は期待できそうもありません。この夏、29作品で6、710万ドルを稼ぎ出して6大スタジオ中トップのディズニーと比べ、ソニーは21作品で2、770万ドルの最下位という悲惨な成績でした。ディズニーとの共同製作が期待される来年夏の目玉作品“スターシップ・トルーパー”も、製作費9、000万ドルという重荷を背負い、“ジュラシック・パーク”の続編“ロスト・ワールド"(ユニバーサル)や“バットマン&ロビン"(ワーナーブラザーズ)と張り合わなければならず、間もなく公開される製作費8、000万ドルのアクション“メン・イン・ブラック"(トミー・リー・ジョーンズ主演)に賭けるのみの現状です。その他、トム・クルーズ主演の“エージェント”やバーバラ・ストライサンド主演の“ミラー・ハズ・トゥー・フェイセス”といったスターパワーに期待できる作品はある反面、殺人的なアメリカ大統領が題材の“目撃"、"バッドボーイズ2”は、どうも転けそうな予感がします。日本の経済成長の代名詞でもあり、マルチメディア時代を先見した勇気ある企業ソニー、同じ日本人として僕は、彼らがユニバーサルを手放した松下電器のようにハリウッドで惨敗を喫し撤退する姿だけは見たくありません。MGM傘下のUA(ユナイテッド・アーティスト)社長時代に“リービング・ラスベガス”や“007ゴールデンアイ”のヒットを飛ばした実績を持つジョン・キャリー氏を新社長として迎え、再起を図るソニー、ガンバレ!





2大スタイリスト

日本の場合、スタイリストという言葉の響きは、もっぱらファッション撮影などで着つけや衣装を担当する職業をイメージするようですが、ここでいうのは着こなしのセンスがいい人のことです。後のモナコ王妃グレース・ケリーやオードリー・ヘップバーンといえば、映画界で'60年代きっての花形スタイリストでした。そして今、時代の移り変わりと共に変動する大衆の目は、'90年代のスタイリストとして誰を捉えているのでしょうか?

シャロン・ストーン: 近代的アイドル

アカデミー賞授賞式へジョージオ・アルマーニのイブニング・ガウンと57万ドルもするバン・クリーフのダイアモンド・イヤリングに、なんとギャップのTシャツで登場したのが評判だった型破りのスタイリスト、シャロン。ふだんはバレンチーノ、ベラ・ワング、シャネルといったブランド好みの彼女ですが、最近、元バスケットボールのスーパースター、マジック・ジョンソン主催のエイズ基金ファッション・ショーへ顔を出した時は、ジーパンとカウボーイブーツのラフな格好にバレンチーノのブレザーという斬新さ、そして昨年の高級志向雑誌エスクワイヤー誌の表紙にロングジョン(モモヒキ)姿で登場したり、38歳と思えない現代的センスが受けているようです。映画の中でも、セクシー・スリラー“スリバー"(1993年)はクラシックでドレッシーなファッション、ウェスタン“クイック&デッド"(1987年)はグランジー(汚らしい)なカウガール・ファッション、また昨年の“カジノ”は'70年代ディスコ・ファッションで決めるなど、現代的スタイリストとして君臨しています。

グウィネス・パルトロー: 知性的アイドル

舞台女優ブライス・ダナーと映画プロデューサー、ブルース・パルトローの娘というより、ハリウッドで最もセクシーな男優ブラッド・ピットの恋人として知られるグウィネス。今年のヒット映画“エマ”やピットとの共演作“セブン”で見事な演技を披露してくれた彼女の魅力は、なんといっても「隣の女の子」的な庶民らしさと「高貴なお嬢さま」的な洗練されたスタイルが相まった部分に集約されるでしょう。往年のヘップバーンがそうであったごとく、きらびやかな映画スターとファッション・クイーンの両面を兼ね備えたグウィネスに大衆は憧れ、そして惹かれるのだと思います。彼女のお気に入りのデザイナーといえば、「グウィネスこそ'90年代の女性を象徴する映画スター」と彼女にベタ惚れのカルビン・クライン。その他、グッチのデザイナー、トム・フォードや次回作“大いなる遺産"(往年の名作のリメイク)で衣装を担当するドナ・カレンのラインも着るそうです。




(1996年11月16日)

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