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(1997年5月16日)          




アカデミー賞、その後

近来まれにみる混戦となった今年(1996年度)のオスカー・レース、受賞者や候補者たちの次作へスポットを当ててみましょう。


ジェフリー・ラッシュ("シャイン")

今月公開される政治絡みのコメディー“チルドレン・オブ・ザ・リボルーション”でジュディー・デービス("アブソルート・パワー")の良人役を演じるほか、期待の大作“ああ無情”ではジャベア警部役で主人公ジャン・バルジャン役のリアム・ニーサム("シンドラーのリスト")と共演します。

ビリー・ボッブ・ソーントン("スリング・ブレード")−写真左−

来月(6月)の6日に公開される“ウィナー”のギャンブラー役、マリワナ栽培を扱ったコメディー“ホームグロウン”や、黒沢明の“迷い犬”をオリバー・ストーン監督("ヘブン・アンド・アース")がアレンジしたアメリカ版リメイク“Uターン”への出演と、売れに売れているソーントンです。その他、モデルはクリントン政権といわれるベストセラー小説の映画化でマイク・ニコルズ監督("バードケイジ")作品“パーフェクト・カップル”の共演がジョン・トラボルタ。




フランシス・マクドーマンド("ファーゴ")−写真右−

いま公開中の“パラダイス・ロード”は、スマトラ諸島を舞台に戦争捕虜がテーマのドラマです。この作品でグレン・クロース("101")と共演する“フランシス”は、ドイツ系ユダヤ人移民の役柄や、その訛った台詞が受けています。また、出演契約したばかりの“トレード”では、強盗事件の被害者を助ける不気味な女性を演じる予定。

レイフ・ファインズ("イングリッシュ・ペイシェント")

11月公開予定の“オスカーとルシンダ”で賭博癖のある牧師役を務める他、間もなく映画化される往年のイギリス製ヒットTVシリーズ“アベンジャーズ”での主役が決定しています。また、スピルバーグ監督率いるドリーム・ワークス製作のアニメ映画“プリンス・オブ・エジプト”にも、ラムセスの声優として出演。

ウッディー・ハレルソン("ピープル対ラリー・フリント")

この秋公開される“ウェルカム・トゥー・サラエボ”でジャーナリストを演じたり、大物ロバート・デ・ニーロやダスティン・ホフマンと共演するバリー・レビンソン監督("レインマン")作“ワッグ・ザ・ドッグ”では、国民的英雄の兵士役。そして、エリザベス・シュー("セイント")と共演のスリラー“パルメット”もクランクイン間近です。

クリスティン・スコット・トーマス("イングリッシュ・ペイシェント")

“イングリッシュ・・・”の成功で気を良くしたミラマックス・スタジオが、彼女のために企画したアラン・アエクボーン原作“リベンジャーズ・コメディーズ”の主演ほか、やはりベストセラー小説の映画化“モンタナの風に抱かれて”ではロバート・レッドフォードの相手役を務めます。

エミリー・ワトソン("ブレーキング・ザ・ウェーブ")

ジュリアン・バーンズの1980年度作でベストセラー小説“メトロランド”を撮り終えたばかりのエミリーが、続いてダニエル・デイ・ルイス("クルーシブル")主演の“ボクサー”で演じる役どころはその妻です。

ブレンダ・ブレシン("秘密と嘘")

またまた彼女が風変わりな家族の母親役で登場するコメディー“ミュージック・フロム・アナザー・ルーム”は今秋の公開。その他、センチメンタルな友情物語“ガールズ・ナイト”の撮影が現在進んでいます。




マイ・ニュー・ヒーロー

ウェスリー・スナイプスの新作“マーダー・アット1600”のプレミアで聞いた彼の近況などを少しお伝えしましょう。まず、大統領一家が殺人事件の容疑者というこのミステリーで彼の役どころはワシントン市警の刑事、成熟した大人の魅力で迫る共演のダイアン・レイン("ジャック")との息もピッタリです。今年34歳のウェスリーが“ライジング・サン”を振り返り、「いま考えると、あの刑事役に僕は若すぎたかもしれない」と言いましたが、以来、それだけいろんな体験をしてきた重みを感じさせる言葉でした。“パッセンジャー57"、"マネートレイン"、"ハード・プレイ"、"ドロップ・ゾーン”や最近作“ファン”などで、幼い頃から修行を積んだ空手とダンスで鍛え上げた肉体(ボディー)を活かした都会的センスのアクションを見せたウェスリーは、その他にも“シュガー・ヒル"、"ジャングル・フィーバー”といった作品で見せたセクシーなドッシリとした演技、そして“デモリションマン"、"ニュー・ジャック・シティー”などで殺気を感じさせる悪役ぶりが光っています。大好きなバイクで、たびたびスピード違反を犯して話題になったり、どことなく不良っぽいイメージの反面、じつは名作“フェーム”の舞台にもなったニューヨークの由緒あるハイスクール・フォー・ザ・パフォーミング・アーツ、そして芸能(ショービズ)校として有名なニューヨーク州立パーチェス大学を卒業したエリートなのです。フロリダ州で生まれ、離婚した母親と共に幼くして悪名高いニューヨークの南ブロンクス地域へ移住、12歳でオフ・ブロードウェイ出演を皮切りに、大学卒業以来、スンナリと舞台や映画の世界へ進出し、現在に至るまでノンストップの快進撃が続いています。コメディー“3人のエンジェル”では、演技派らしく惚けた女装美人(?)を好演したり、9月公開予定のマイク・フィッグス監督("リービング・ラスベガス")、ジョー・エスタハス脚本("氷の微笑")の“ワン・ナイト・スタンド”では、美しい妻("ジョイラック・クラブ"のミンナ・ウェン)がいながら、他の美女("ターミナル・ベロシティー"のナスターシャ・キンスキー)と浮気をしてしまう悩める広告代理店勤務のエリートを熱演。マイケル・ジャクソンのヒット・ミュージック・ビデオ“バッド”で、ライバル・ギャング団のボスを演じたのは、意外と知られていません。また、彼が初めてプロデューサー業に挑戦する“ブレイド”は、いま撮影中です。現代版バンパイア・キラーが主人公の人気劇画(コミック)を映画化したこの作品、チャレンジ精神旺盛な彼は初体験の重圧(プレッシャー)さえ気に入っているらしく、彼の映画製作会社アーメン・レイ・プロダクション第一作として、かなり気合いが入っています。その撮影終了後、待ち受けているのは、TVシリーズの映画化がヒットした“逃亡者”の続編“追跡者”で、トミー・リー・ジョーンズ演じるジェラード刑部から追われる「新・無実の男」役・・・・・・われらが「ニュー・ヒーロー」を応援しましょう!





モンスター番付

前回の「お先に失礼」でも取り上げた“アナコンダ”や、来週(5月23日)公開される待望の夏休み大作“ロストワールド”に代表されるハリウッドのモンスター映画。昔からいろいろな生物(あるいは無生物)を素材として、観客へスリルと恐怖感を堪能させてくれたこれらの作品群を振り返り、「ハリウッド最前線」独自の番付(ランキング)を作ってみました。


ジョーズ ジュラシック・パーク ゴジラ
横綱:“ジョーズ”(1975年)
モンスター: グレート・ホワイト・シャーク(頬白鮫)
プラス: 若干27歳のスティーブン・スピルバーグ監督が、それまでのモンスター映画の価値観を根底から覆(くつがえ)した革命的作品。海水浴恐怖症という新たな症候群(シンドローム)を生みだしたモンスター映画の王者です。
マイナス: 続編が3本ともつまらなかったおかげで、オリジナルのインパクトを白けさせる結果となりました。
西大関:“エイリアン”(1979年)
モンスター: 宇宙に棲息する、ヨダレを垂れ流す爬虫類のような生物。
プラス: リドリー・スコット監督("テルマ&ルイーズ")の力量を見せつけた作品。異色の画家H・R・ギガーがデザインした「エイリアン」は、金属をも溶かす酸性の血と奇妙な卵で観客をパニックさせました。
マイナス: 続編は回を重ねるにつれてスリルが減少し、いつの間にやらサスペンス映画からホラー映画へと変身してしまいました。
東大関:“ジュラシック・パーク”
    (1993年)

モンスター: T・レックスをはじめとするジュラ紀から白亜紀の恐竜たち(題名とは裏腹に、その多くは白亜紀)。
プラス: 最新のC・G(コンピューター・グラフィック)を駆使して再現された恐竜たちのリアルな動き。
マイナス: ベストセラー小説の映画化なので、マイケル・クライトンの原作を先に読んだ人は、ややイメージが違って興ざめの場面も・・・・・・
西関脇:“アナコンダ”(1997年)
モンスター: アマゾン奥地で棲息する全長12メートルの蛇。
プラス: メカニカル操作やC・Gでスクリーン狭しと暴れまわる大蛇の動き。恐怖の中へコミカルなタッチを加えた演出は、おもしろい効果を醸(かも)し出しています。
マイナス: クローズアップで気になるアナコンダの懐中電灯のごとく光る眼光やラジアル・タイヤのような肌。
東関脇:“ゴジラ”(1956年)
モンスター: 原爆実験の結果、放射能の作用で生まれた日本の代表選手(?)。
プラス: ミニチュアの東京タワーを踏みつぶすシーンは、モンスター映画史上に残る名場面。かの“インディペンデンス・デー”の製作チームが、現在、このハリウッド版を製作準備中で、来年(1998年)夏公開されます。また、TVのアニメ・シリーズにもなる予定です。
マイナス: いまいち悪役としての迫力に欠けていたのが、最後はとうとう正義の味方という始末!
西小結:“ウィラード”(1970年)
モンスター: ベンという頭脳明晰な巨大ネズミ。
プラス: 幼いマイケル・ジャクソンの歌う主題歌がヒットしたこの映画は、ずるがしこいネズミの存在を再認識させてくれました。
マイナス: 続編の愚作“ベン”で、僕をはじめとする多くの観客がネズミ恐怖症にされたこと。
東小結:“白鯨”(1956年)
モンスター: モビー・ディックという巨大な白鯨。
プラス: 文豪メルビルのクラシック小説を映画化したクラシック。往年の名優グレゴリー・ペック("アラバマ物語")が演じた、片足を失くしてモビー・ディックへの復讐に燃えるエイハブ船長の姿が印象的。
マイナス: ボートで大鯨と戦うシーンは、やや迫力不足で、当時の技術的な限界が感じられます。
西前頭:“クジョー”(1983年)
モンスター: 狂犬病のセントバーナード。
プラス: “スピード”や“ツイスター”で今やハリウッド随一のアクション監督といえるヤン・デ・ボンが撮影監督を務め、原作はホラー小説の大御所スティーブン・キング。
マイナス: 恐ろしいはずのセントバーナードながら、“ベートベン”の可愛いイメージが邪魔して憎めません。
東前頭:“トレマーズ”(1990年)
モンスター: 地下を徘徊する巨大なイモ虫。
プラス: 主演がケビン・ベーコン("スリーパーズ")で監督はロン・アンダーウッド(現在、“猿人ジョー・ヤング”のリメイク版を撮影中)、彼らの将来性が垣間見れる作品といえるでしょう。
マイナス: 特になし。
西十両:“グリズリー”(1976年)
モンスター: 身長6メートル、体重900キロの巨大な熊(グリズリー・ベアー)。
プラス: 木を登り、巨体のわりに足も早い熊が追い駆けてくる恐怖感を、なかなか巧く描いています。
マイナス: グリズリー・ベアーといえば、アメリカの人気漫画“クマゴロー”で、そのお人好しのイメージはお馴染みですが、この映画でそれもぶち壊し(?)。
東十両:“アリゲータ”(1980年)
モンスター: シカゴの下水道で棲息する巨大なワニ。
プラス: 大都市に現われたという意外性が、当時ヒットした要因でしょう。
マイナス: CGの技術がまだまだ未熟なせいもあり、機械仕掛けで動くワニのぎこちなさが目立ちます。
幕下:“オルカ”(1977年)
モンスター: 復讐心で駆られた非情なキラー・ホエール(シャチ)
プラス: 家族を殺されたシャチの心情が伝わり、同情を誘われます。片足を噛みちぎられる役で出演しているのは、“テン”で颯爽(さっそう)とスターダムへ乗ったセクシー女優ボー・デレック。
マイナス: いわば“ジョーズ”と“フリー・ウィリー”を掛け合わせたようなこの作品も、サンディエゴのシーワールドが誇るメイン・アトラクション「シャムー/キラー・ホエール」を見てしまうと、モンスターへ恐怖感は抱けません。

これらのモンスター以外、“プレデター”でシュワルツェネッガーが戦った相手の宇宙人なども強力な存在とはいえ、ロブスターをモデルにした醜い顔を除けば形態が人間っぽく、この番付(ランキング)はもう少し人間離れをした基準から選考しました。余談ですが、プレデターのモンスターは素顔を見せないため、ジャン・クロード・バン・ダムが演じていたことは、案外、見過ごされています。




(1997年5月16日)

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