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(1998年12月16日)          




新企画情報

ハリウッド映画業界は年末休みに入ったところですが、年明けからは様々な企画が製作を再開します。そこで、来年封切り予定作のうち11本を拾ってご紹介しましょう。


“アンナ・アンド・ザ・キング”

レックス・ハリソン、アイリーン・ダン共演の1946年度作“アンナとシャム王”は、1956年にもそのミュージカル版“王様と私”がユル・ブリンナー、デボラ・カーのコンビでヒットしました。ベースとなっているのは、19世紀のシャム(現在のタイ)へ赴いた実在の女性教師アナ・レオノウェンズが日記に綴った王様との恋物語です。今回、再映画化されるこの現代版は、ジュリア・ロバーツと並びハリウッド女優で最高のギャラ1,500万ドルが話題を呼んだ“未婚の母”ジョディー・フォスターと、香港映画界からハリウッドへ転身して活躍中の伊達男チョウ・ユンファ共演、“パルプ・フィクション"、"ジャッキー・ブラウン”のプロデューサー、
ローレンス・ベンダーの製作で、来年早々クランクインします。

 


“Xメン”

まだ企画の初期段階ながら、人気コミックブック・ヒーローの映画化ということと、“ユージュアル・サスペクツ”や先月公開されたナチス・スリラー“アプト・ピューピル”で手腕を見せたブライアン・シンガーの監督だけに、独特のダークな世界を彼がどう描くか注目の的です。

“プリテンダーズ”

先月封切られた“ジョー・ブラックをよろしく”でアカデミー賞候補のダークホースと噂の高いブラッド・ピットと、若手A級(クラス)スター、マシュー・マッコナヒー("コンタクト")の共演作で、“マーキュリー・ライジング”などのイマジン・エンターテイメントが企画中ですが、自分とまったく違う性格の人間に成りすます男の物語は、大物2人のスケジュール調整が難しく難航している模様。

“ダブル・オー・ソウル”

007(ダブル・オー・セブン)をもじったタイトルどおり、クリス・タッカー扮する黒人スパイが活躍するアクション・コメディーです。ジャッキー・チェンとの共演作“ラッシュアワー”は遂にアメリカ国内収益1億2千万ドルを突破するブロックバスター・ヒットとなり今や絶好調のクリス、700万ドルのギャラばかりかプロデューサーも兼ね、なんと人気ポップス歌手マライア・キャリーが共演します。監督はこの映画が初めてというトム・デイを起用し、先月(11月)クランクインしました。

“グラディエーター”

“L・Aコンフィデンシャル”で脚光を浴びたオーストラリア人俳優ラッセル・クロウ主演の歴史物大作。クロウの役柄は、当時最高のエンターテイメントであった“格闘”の戦士(グラディエーター)として名を馳せたローマ帝国軍大将のマキシマスです。ドリームワークス製作、リドリー・スコット監督("G・Iジェーン"、"ブラックレイン")で、来年2月初旬のクランクインが決定しています。

“バッドボーイズ2”

ウィル・スミスとマーチン・ローレンスの黒人コンビでヒットしたバディー・ムービーの続編です。オリジナルで鮮烈なデビューを飾ったマイケル・ベイ監督("ロック"、"アルマゲドン")は、今やハリウッドきってのアクション・ディレクターへ、そしてスミスも超A級(リスト)スターへと成長しました。1996年夏のクランクインがローレンスのドラッグ問題で滞り、ようやく製作のメドが立ったところ。

“アパッチ”

ヒットメーカー、ジェリー・ブラックハイマー("アルマゲドン"、"コンエアー")製作、ブルース・ウィルス主演のダーク・スリラーで、ブルース扮する引退したニューヨーク市警の刑事が猟奇殺人事件へ巻き込まれます。来春クランクインの予定です。

“デトロイト・ロック・シテイー”

ハードロック・バンド、キスのコンサート・チケットを巡る青春ドラマ。元キスのリードシンガー、ジーン・シモンズがプロデューサーを務め、主役の熱狂的キス・ファンはエドワード・ファーロング("ターミネーター2")が演じます。過激な化粧を復活させてヤング層へ人気のキス、先月から1年間の世界ツアーを始めたばかりです。その勢いに乗るべく、現在、着々と撮影が進む映画のほうは、どう仕上がるか?


“ナース・ベティー”

レニー・ゼルウィガー("ワン・トルゥー・シング")演じる人妻は、夫の殺人現場を目撃して精神錯乱をきたし、TVドラマの精神科医デビッド博士を探して旅に出ます。そんな彼女を、モーガン・フリーマン("フラッド")とクリス・ロック("リーサル・ウェポン4")扮する暗殺者(ヒットマン)が抹殺しようと追跡するダーク・コメディーです。この後、マット・デイモンと共演の新作“ドグマ”や製作中の主演作“スピン・ドクター”と続くクリス・ロックは、いま最も注目されるコメディアンでしょう。今月初旬クランクインしました。

“ハンギング・アップ”

題名が“諦め”を意味するこの映画は、“ユー・ゴット・メイル”のノラ・エフロン監督と姉の作家デリア・エフロンが脚本を書き、監督は女優のダイアン・キートン("マイ・ルーム")、メグ・ライアン("ユー・ゴット・メイル")とリサ・クドロウ("フレンズ")が姉妹役を演じます。疎遠だったアル中の父親の最期を看取る三姉妹の葛藤を描いたこの人間ドラマは、ノラとデリア自身の人生経験がベースとなっており、当初はノラが監督するはずでした。しかし、現実とオーバーラップしすぎて客観視できないという理由から、以前も“アンストラング・ヒーロー”などを監督したキートンに落ち着いたわけです。コロンビア製作で来年の2月初旬クランクイン予定。

“ブルー・ストリーク”

主演は“バッド・ボーイズ”や“ナッシング・トゥー・ルーズ”で軽妙な相棒役を好演したマーチン・ローレンス、一年前にダイアモンドを隠した建物へ侵入しようと刑事になりすます宝石泥棒(ローレンス)が、その迫真した演技のおかげで本物の刑事と間違えられ、麻薬(ドラッグ)の囮捜査官に抜擢されてしまうドタバタ・アクションです。




第2の「スターウォーズ」?

“スターウォーズ”第2次3部作の第1弾“エピソード1/ファントム・メナス”が、来年5月21日の慰霊祭(メモリアル・デイ)にいよいよ全米で封切られます。この世紀のメガ・フランチャイズへ迫る大型SFプロジェクトとして、長年ハリウッドで企画されていたのが“指輪物語”3部作です。今は亡きオックスフォード大学教授J・R・トルキエンが書いた原作の3部作小説“ホビット”は、1950年の出版以来、12ケ国語に翻訳され、世界中で5千万部以上を売り尽くしました。人間と小人の住む神秘的な古代世界が舞台となって繰り広げられる物語は、正義の味方であるホビット(架空の小人)のフロド・バギンスと彼の相棒サムが“魔法の指輪”を携え、暗黒大魔王サウロンの帝国へ戦いを挑み人類を救うというもので、20年前に1度アニメ化されたきり陽の目を見ていません。しかし、製作権を懐で温めてきた大物プロデューサー、ソウル・ザンツ("アマデウス"、"イングリッシュ・ペイシェント")が、この複雑怪奇なSF冒険ファンタジーをスクリーンへ再現すべく無名のオーストラリア人監督ピーター・ジャクソンを抜擢し、“ホビット”は長い眠りから覚めそうな気配です。ただ、“タイタニック”で売り出す前のケイト・ウィンスレットを起用したジャクソンのデビュー作“乙女の祈り”に感動して、ミラマックスが1997年の製作へ投資することに合意した後、ジャックソンは1年半後、引き続き2作を撮りあげたいと希望、まず1作というミラマックス側の意向と衝突して暗礁へ乗り上げます。そこに登場するのが“ブレイド”や“ラッシュアワー”のヒットで景気のいいニューライン・シネマです。ミラマックスへ1千万ドルの企画料を払うばかりか、製作予算は“ロスト・イン・スペース”の8千5百万ドルを上回る自社投資額で最高の1億3千万ドルを投じジャクソンをバックアップすることが決まりました。また、映画に加え“スターウォーズ”並の関連キャラクター商品市場へも照準を合わせるニューラインは、“フェローシップ・オブ・ザ・リング"、"トゥー・タワーズ"、"リターン・オブ・ザ・キング”の3部作を来年続けて撮り、待望の第1弾は2000年のクリスマスに公開を目指しています。製作総指揮で参加するミラマックスと実際に製作するニューラインが壮烈なライバル関係でありながら組む以上、それだけスタジオの期待は大きいのでしょうね! 第二次大戦中、この三部作を執筆し、映画化をみることなく1973年に他界したトルキエン、彼独自の世界が新世紀のファンタジーとして蘇る日も間近です。こう、ご期待!!





ゴースト・ブーム

幽霊、亡霊、天使、死神などのテーマは、昔からハリウッドでお馴染みのジャンルです。“キャスパー”や“エンジェルス”などが代表するコメディーから“フィールド・オブ・ドリームス”や“ゴースト/ニューヨークの幻”などのファンタジー・ドラマに至るまで、その様々なバライティーの中では幽霊の視点で描いた映画のほうが多いと思います。しかし、最近は世紀末のせいか、人間の視点で描いた映画、たとえば“黄泉の国”での体験や、死後の世界からの生還がテーマの作品も増えてきました。今年のヒット作“シティー・オブ・エンジェル”ではニコラス・ケイジが女医に恋する天使役を演じ、“ホワット・ドリームス・メイ・カム”ではロビン・ウィリアムスが他界した妻を捜して天国と地獄をさまよい歩きます。また、先月封切られたばかりの“ジョー・ブラックをよろしく”では、ブラッド・ピット扮する“死に神”が人間と接触し、“ジャック・フロスト”ではマイケル・キートン("バットマン")扮するパパが“雪だるま”として生き返るといった具合です。ウィル・スミス、ジェイダ・ピンケット夫妻の共演企画“ラブ・ジェニー”も、他の女性の肉体へ憑(とりつ)いてこの世に戻る妻と先立たれた夫のラブ・コメディー。その他、人気TV番組“フレンズ”の主役でブラッド・ピットの新しい恋人ジェニファー・アニストン("私の愛情の対象")扮する冷血な辣腕女性重役が、不慮の死を遂げた後もう一度生きるチャンスを与えられて改心する“サムシング・ウィケッド”や、ジュリア・ロバーツの主演企画作で超自然(スーパー・ナチュラル)ロマンス“マンハッタン・ゴースト・ストーリー”など、「死後の世界(アフターライフ)」企画は目白押しです。従来の「死」という映画コンセプトを21世紀風に斬新な捉え方で観客へアピールしようとするこれらの企画の共通点といえば、やはり「愛は死を超えて」という永遠のメッセージでしょう。




Merry Christmas
from Hollywood!

(1998年12月16日)

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