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(2016年1月)          


A Happy New Year!
from
Hollywood

おかげさまで、この「ハリウッド最前線」も
20周年を迎えることが出来ました。
今後とも、よろしくお願いいたします!



賞レースの季節到来

去年は眉毛の話で始まり眉毛の話で終わった「最新情報」ですが、今年はまず第73回ゴールデン・グローブ賞のノミネーションのニュースからです。今年もいよいよ映画界の本格的な賞レースの季節到来で各賞のノミネーションや受賞結果が続々と発表される中、第73回ゴールデン・グローブ賞ノミネート結果が先月(12月)10日に発表されました。筆頭はトッド・ヘインズ監督作「キャロル(写真)」が最多の4部門5ノミネート、続いてはアダム・マッケイ監督作「マネー・ショート 華麗なる大逆転」、ダニー・ボイル監督作「スティーブ・ジョブズ」、そして昨年「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」でオスカーを獲得したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作で、音楽を担当した坂本龍一が3度目となる音楽賞へノミネートされた「レヴェナント:蘇えりし者」が各4ノミネートで後を追うという結果です。同賞は100人以上の外国人ジャーナリストや写真家からなる外国人記者クラブという各国のジャーナリストが選ぶとあって、過去の実績から見ても他の賞と比べて大作およびスター志向が強く、アカデミー賞の前哨戦といわれながら少々傾向は異なります。また、「個人的なファンや好みの俳優が選ばれている」などと言われたこともあり、サプライズは毎年のことですが、今回は例年になくサプライズだらけの結果となりました。そして、ゴールデングローブ賞からアカデミー賞への流れを考えると、これまで何度も主演男優賞の最有力候補と言われてきたレオナルド・ディカプリオが今回の「レヴェナント:蘇えりし者」のノミネートをきっかけとして、5度目の正直でオスカーを獲得する可能性は濃厚と言われているのも興味深いところです。今後の展開がますます楽しみになってきましたね!



タランティーノの新作

第73回ゴールデン・グローブ賞といえば、クエンティン・タランティーノ監督の長編第8作「ヘイトフル・エイト(写真)」が脚本賞、助演女優賞、作曲賞の3部門へノミネートされています。舞台は山の上のロッジ、吹雪で足止めを食らいロッジで一夜をともにすることとなった男7人と女1人が登場人物です。そこで起こる密室殺人。犯人は誰なのか? いったい何の目的で? 吹雪が作り出す密室で、疑心暗鬼で張り詰めた緊張をほぐすため、またお互いを探り合うため、他愛のない会話をかわす面々。やがてそれぞれの素性がすこしずつ明らかになり、偶然集まったかに見えた彼らの過去は繋がり始めるのです。そこで再び、予想を超えた出来事が・・・・・・本作はタランティーノが初の密室ミステリーへ挑戦したというだけあって、オープニングから気を緩めることはできません。すべての会話と視線、何気ない身振りに仕掛けられた巧妙かつ緻密な伏線、彼独特のブラックな笑いと過剰なアクション満載の物語の中へ、かつてない謎解きが隠されています。サミュエル・L・ジャクソン演じる切れ者の賞金稼ぎマーキス・ウォーレンをはじめ、カート・ラッセル演じる疑心暗鬼に固まるハングマンのジョン・ルース、ジェニファー・ジェイソン・リー演じる1万ドルのお尋ね者デイジー・ドメルグ、ウォルトン・ゴギンス演じる自称保安官クリス・マニックス、デミアン・ビチル演じる愚直なメキシカンの使用人ボブ、ティム・ロス演じる英国紳士の絞首刑執行人のオズワルド・モプレー、マイケル・マドセン演じる無口なカウボーイのジョー・ゲージ、ブルース・ダーン演じる黒人嫌いの老将軍サンディ・スミザーズらヘイトフルな(憎しみに満ちた)クセ者8人の繰り広げるこの映画、アメリカでは現在公開中で、日本公開は約3ケ月遅れて2月27日の予定です。



演技力No.1

タイム誌の年末恒例企画「2015年度すべてのトップ10」のうち、去年(2015年)公開された映画の「演技力トップ10」が発表されました。トップ10の第1位に選ばれた俳優は、大人のコメディー「アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリーム」へ主演した女優ブライス・ダナー(写真)です。ダナーが元歌手で未亡人のキャロルを演じる同作は、彼女を中心とする70代の男女が、いくつになっても新しいことへチャレンジする姿をチャーミングに描き出しています。タイム誌が評したところでは、「俳優を大きく分けると空間を圧倒的に支配するタイプと、もっと静かで、かつ軽やかさと暖かさをもって周囲を満たすタイプがいる。ダナーは後者のタイプの女優だが、本作ではとりわけ軽々とドラマの舞台や共演者たちと調和してみせた」とのことです。なお、本作でダナーと共演したサム・エリオットも7位へランクインしています。続く2位は、アンサンブル・キャストでボストン・グローブ紙の記者たちがカトリック教会の醜聞を暴いた実話を基に描くスリリングな社会派ドラマ「スポットライト」です。3位は、1974年にワールド・トレード・センターでの空中綱渡りへ挑戦したフィリップ・プティの著書を実写化した実録ドラマ「ザ・ウォーク」でプティを演じるジョセフ・ゴードン=レビット。4位が「あの日のように抱きしめて」のニーナ・ホス。そして「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」では、ポール・ダノが5位でエリザベス・バンクスが6位と2人選出されています。7位のエリオットは先の「アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリーム」と「グランマ」の両作でのランクインで、リリー・トムリンもやはり「グランマ」で9位です。あと、8位が「ブラック・スキャンダル」のジュノー・テンプル。10位は「Zフォー・ザカリア」のキウェテル・イジョフォーという結果になりました。



ザ・ブラックリスト

ザ・ブラックリスト」というと聞こえは悪いですが、まだ映画化されていない優秀脚本を選ぶ名誉ある脚本賞の名前なんです。この賞はスタジオの重役やエージェント、マネージャーなどふだんから新作脚本を読んでいる業界人がお気に入りの脚本へ投票するもので、2005年の開始以来、ザ・ブラックリストで取り上げられたうち映画化された脚本は225本以上あり、「スラムドッグ$ミリオネア(2008年)」、「英国王のスピーチ(2010年)」や「アルゴ(2012年)」といったアカデミー作品賞の受賞作も過去にその中へ含まれていました。今年が第11回目となる「ザ・ブラックリスト」で最多の44票を獲得したのは、マイケル・ジャクソンと一緒に生活をしたチンパンジーが主人公の「バブルス」を書いたアイザック・アダムソン(写真)で1位。次にシルバー・スコットの「ストロンガー」は40票で2位、2013年のボストン・マラソン爆弾テロ事件で両足を失ったジェフ・ボーマンの実話です。そして3位がベン・コピットの「リバティン」37票、性的暴行疑惑で自宅軟禁となったフランスの政治家が家族関係とキャリアを立て直そうとする物語。4位はジェフリー・ゲルバーとライアン・ベレンゾンが書いたヤンキースなどで活躍した名投手ウィリアム・ロジャー・クレメンスの伝記映画「ロケット」で37票。5位はジョン・J・グリフィンの「クレーター」34票、月の炭鉱で暮らす10代の若者が親友4人と月面のドライブ旅行に出かける物語。6位はジョナサン・ジョニー・ペレラの「ミス・スローン」31票、強力なロビイストである彼女が銃を規制する厳格な連邦法の施行の改正を押し通すことができるよう、キャピトルヒルで自らのキャリアを犠牲に・・・・・・以下30票未満の脚本がまだまだ続きます。とりあえず、上記の6作は今後の映画化を注目しておく価値があるでしょうね。



不名誉なトップ5

同じランク付けでもOK誌が選んだのは「2015年に最も恥ずかしい瞬間を体験したセレブたち5人」です。まず、一番ましな5位に選ばれたのがアカデミー授賞式でのジョン・トラボルタ、彼は2014年の授賞式でイディナ・メンゼルの名前を「アデル・メンゼル」と思いきり呼び間違えましたが、今年はその彼女とステージ上で並んだ際、お詫びのつもりだったのか彼女の頬と顎をねっとりと手の平で愛撫して、「気持ちが悪い」とツイッターを炎上させています。4位はインタビューで「お気に入りの『ディッシュ』は何ですか?」と聞かれて「マグカップ」と答えたデミ・ロヴァート。英語で「好きなディッシュ」というと普通「好きな料理」の意味ですが、彼女はそれを文字通り「皿」の意味と受け取ったらしく、「マグカップが好きです。持ちやすいし、熱い物を入れられるから」と答えて話題になりました。3位はブリット・アワード授賞式でパフォーマンス中、長いケープの裾をダンサーが踏んで大転倒したマドンナ。その後、彼女を転ばせたダンサーは日本人だったことが判明しています。2位は英国の人気オーディション番組「Xファクター」で、結果発表の前に落選した候補者の名前をうっかり口走ってしまった司会者オリー・マーズ。来シーズン、彼の姿が見られないだろうともっぱらの噂です。そして堂々の1位は、世界各地で股間が楕円形に濡れたパンツ姿の写真が報道され、失禁疑惑で話題になった元スパイス・ガールのヴィクトリア・ベッカム(写真)。本人はその後、あれは飲み物をこぼしたせいだと弁明しているものの、濡れた部分があまりにも疑わしい広がり方をしていたため、「そろそろ尿漏れパッドが必要じゃないのか」とネット上で心配されました。



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