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(2017年9月)          




稼ぎ頭の女優は?

毎年、この時期恒例の米フォーブス誌による企画「世界で最も稼いだ女優」が発表され、今年(2017年度)は「ラ・ラ・ランド(2016年)」で第89回アカデミー主演女優賞を受賞したエマ・ストーン(写真)がトップに選ばれました。同誌は2016年6月〜2017年7月の収入を推計した結果、世界興行収益4億4,530万ドル(約500億円)のヒットを記録した「ラ・ラ・ランド」のストーンが推定2,600万ドル(約28.6億円)の出演料を受け取り、去年まで2年連続で1位だったジェニファー・ローレンス(「ハンガーゲーム・シリーズ」)を抜いて初の首位を獲得したわけです。2位はエミレーツ航空や飲料水、化粧品などのCM出演料で推定2,550万ドル(約28億円)を稼いだジェニファー・アニストン、3位はダーレン・アロノフスキー監督の最新作「マザー!」へ出演した推定2,400万ドル(約26.4億円)を稼いだローレンスとなっています。以下、10位までの女優ランキングは・・・・・・

  1位:エマ・ストーン(2,600万ドル/約28.6億円)
2位:ジェニファー・アニストン(2,550万ドル/約28億円)
3位:ジェニファー・ローレンス(2,400万ドル/約26.4億円)
4位:メリッサ・マッカーシー(1,800万ドル/約19.8億円)
5位:ミラ・クニス(1,550万ドル/約17億円)
6位:エマ・ワトソン(1,400万ドル/約15.4億円)
6位:シャーリーズ・セロン(1,400万ドル/約15.4億円)
8位:ケイト・ブランシェット(1,200万ドル/約13.2億円)
8位:ジュリア・ロバーツ(1,200万ドル/約13.2億円)
10位:エイミー・アダムス(1,150万ドル/約12.7億円)


期待の新人

ハリウッド期待の若手俳優アンセル・エルゴート(写真)主演作「ベイビー・ドライバー」は、ひとたび好きな音楽を聴けば天才的な運転テクニックを発揮する銀行強盗の逃走車の運転手ベイビーが活躍するアクション・スリラーです。監督はイギリス出身のエドガー・ライト、自ら選曲した楽曲に合わせてオリジナル脚本を執筆し、初めてアメリカでメガホンを取りました。現在23歳のエルゴートは新人といっても、ベストセラー小説を映画化した「きっと、星のせいじゃない(2014年)」でブレイク、続く「ダイバージェント・シリーズ」で主要キャストへ抜てきされ、デビューから4年足らずでスターの階段を着実に上っています。そんな彼が、「ハリウッド映画は、残念だけどアート性よりもビジネス色が強くなっていると思う。毎回ユニークな作品を作る監督がいて、その一人がエドガー・ライトだ。独自のバイブやビジョンがあって、特別な映画を作ってくれる。どんな作品だろうと、間違いなく特別な映画になると思っていたからこそワクワクしたよ」とライトをべた褒めです。サウンドトラックはすべてライトの選曲ですが、ベイビーへ母親の思い出の曲となったコモドアーズの「イージー」だけはエルゴートお気に入りの一曲で、オーディションの時、同曲を口パクで歌ったのがきっかけとなりました。「最初からすべての楽曲は脚本へ組み込まれていたから、自分の好きな曲を入れてもらえて驚いた。エドガーは何も言わずに加えてくれたから、僕は送られてきた改稿版を読んで『Easy』が入ってるのですごく興奮したんだ」とか。撮影現場では、各場面で使用する音楽を実際に流しながら撮影したらしく、ここまで音楽をフィーチャーした映画も珍しいと思います。ただ、音楽の趣味が合わない観客へは裏目に出るかもしれません。ともあれ、エルゴートの今後の活躍に期待したいものです。



ジェンキンス監督は語る

世界興行収入が8億ドル(約880億円)を超え、現在、世界でヒット中の自作「ワンダーウーマン」について、パティ・ジェンキンス監督(写真)が、ニューヨークのアップル・ストア・ソーホー開催のイベントで語りました。女性監督としてハリウッドでスーパーヒーローの大作を手掛けることへのプレッシャーについて彼女は、「もちろん女性監督として特別な状況下に置かれ、『ワンダーウーマン』を製作するプレッシャーが周りからあったことは気づいていたけれど、撮影が終わるまであえて気にしないように努めていたわ。でも一旦撮影を終えると、(観客の解釈次第では)さまざまな間違った方向へ行く可能性があると気づき、それがどれだけシリアスなことかを理解し始めたの。それに、これほど多くのコミックファンから愛されているワンダーウーマンのようなキャラクターを映画化すると、自分にとってどれだけベストな映画化をしようとも、必ず賛否両論はあると思っていたわ。でも、これほどポジティブな反応を受けることは全く想像できていなかったのよ」と驚いた様子です。見どころも一つであるワンダーウーマンことダイアナ(ガル・ガドット)率いるアマゾン族の戦闘シーンについては、「今作で最も難しい撮影だった。あのような戦闘シーンが出来るアスリートのような女性を探すのが大変で・・・・・・監督として様々な女性の強さを見せつけたいと思っていたから、ボクサーのような格闘訓練、馬で走り回る訓練、剣を使う訓練などを盛り込んだけれど、彼女らのその様子をまとめて描くこともとても大変だったわ。でも最終的には、彼女たちへそれぞれの得意分野(ボクシング、乗馬、剣さばき)で演じてもらったことで、逆にそれがリアルに見えたわ」と振り返っています。



黒澤監督の影響

第2次大戦中の1940年、フランスのダンケルク海岸でドイツ軍に包囲されたイギリスとフランス軍の兵士約40万人を救出した史上最大の救出作戦の映画化「ダンケルク」がヒット中のクリストファー・ノーラン(写真)監督、映画の世界を目指す若者たちへ答えました。まず、自身と映画の関わりについて聞かれたノーランは、「7〜8歳ぐらいのすごく小さい頃から映画を作っている。父がスーパー8のカメラを貸してくれて、弟とショート・フィルムを作っていたんだ。だんだん規模は大きくなってきたんだけれど、ずっと映画を作り続けているよ」と変わらぬ情熱を語っています。若者が何を学べばいいかのという質問へは、「たくさん映画を観てくれ。それを楽しむことが大事。そしてそれを分析することが大事。私は映画学校に行ってないが、そういうやり方で学んできた。映画をずっと観て、フィルム・メイカーたちを理解しようとしてきたんだ」と明かしました。今や大規模の映画を次々と世に送り出しているノーランも、最初の作品「フォロウィング」はまったくお金がなく、友達と撮ったそうです。そんな彼の忠告は、「いろいろな規模の映画を作ってきたけれど、規模やクルーの数に係わらず、いつも同じ姿勢を貫かないといけない。最初、感じた衝動に従ってイメージを取り込み、ストーリーを語っていくことが大事だよ」とのことです。また「ダンケルク」へ質問で、「黒澤明監督の『羅生門』からインスピレーションを受けている」と告白する一幕もありました。「物事を色々な視点から見て、話が散在しているように見せて、ひとつの大きな物語を語ってゆく。私はこの映画を何度も見返している」と、数々の名作が監督のアイディアの源となっている様子です。ノーランが惜しげもなく創作の秘密を伝える姿に、若者たちは熱く大きな拍手を送りました。



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