ルーカスのお墨付き
“スターウォーズ/ジェネシス"、"スターウォーズ/バランス・オブ・ザ・フォース"、"スターウォーズ/ビギニング"・・・・・・
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ジェイク・ロイド |
リアム・ニーサム |
イワン・マクレガー |
ナタリー・ポートマン |
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と、クランクイン以来、数々のワーキング・タイトル(仮題)で呼ばれてきたスターウォーズの次作は、現在“スターウォーズ/エピソード1”というタイトルの下で順調に撮影が続いています。この夏、全世界で発売されて爆発的な売れ行きをみせたデジタル版ビデオで活躍するのはルーク・スカイウォーカー、その彼が“フォース(宇宙神秘の力)”を修得する40年前まで遡(さかのぼ)った時代設定です。8歳の少年アナキン・スカイウォーカーが悪役ダース・ベイダーへと変身してゆく過程を描いた物語ともいえるでしょう。この“EP1(エピソード1)”の封切りは1999年5月に予定されており、アナキン役が“ジングル・オール・ザ・ウェイ”の子役ジェイク・ロイド、新登場のジェダイ・マスターはリアム・ニーサム("シンドラーのリスト")が演じ、若き日のオビ・ワン・カノービにはイギリスの新星イワン・マクレガー("ライフ・レス・オーディナリー")、そして双子の兄妹ルーク・スカイウォーカーとプリンセス・レイアの母親の若かりし頃と推定されるクイーン役がナタリー・ポートマン("マーズ・アタック")という以外、サミュエル・L・ジャクソン("評決のとき")やハリー・コニック・ジュニア("ID4")も出演します。こうしたキャスティング情報を除けば、極秘のベールに包まれながら撮影は進行中。そこで、公開まで1年半、待ちきれないという世界中のSWファンへ耳よりの話が、ジョージ・ルーカス公認の“スターウォーズ・サイト”です。やはり物語に関するトピックはわずかしかありませんが、“メイキング・オブ・・・”風の記事やプロダクション・ノート(製作日誌)、そしてスタッフの横顔などは頻繁にアップデートされ、大変楽しめます。巨大なロンドンのリーベスデン・スタジオでの撮影風景から、チュニジア、イタリアといった豊富なロケ写真が圧巻! お馴染みのR2D2はもとより新しくデビューする奇怪なキャラクターまで、もう完全に“ルーカスの宇宙”の世界なのです。公開を待つ間、世界中のファンと、このサイトで過ごしてみては?
トゥモロー・ネバー・ダイ
−売れっ子たちの明日は?−
4日後(12月19日)の全米公開を控え、007シリーズの新作“トゥモロー・ネバー・ダイ”で再びジェームス・ボンドを演じるピアース・ブロズナンは今、アメリカ、ヨーロッパ、アジアのプロモーション・ツアーでおおわらわです。それが落ち着く3月15日にはリチャード・アテンボロ監督("ラブ・アンド・ウォー")の“グレイ・オウル(灰色の梟)”がクランクインし、この作品で主演した後は“華麗なる賭”のリメイク版が待っています。1968年度製作のオリジナルは、当時の大スター、スティーブ・マックウィーン("ゲッタウェイ")とフェイ・ダナウェイ("ボニーとクライド")主演でヒットしたサスペンス溢れる傑作で、憶えておられるかたも多いでしょう。この億万長者の銀行泥棒が主人公である犯罪ドラマを自らのアイリッシュ・ドリーム・タイム・プロダクションで製作するブロスナン、早くも共演候補に上がっているのは今最もホットな女優キャメロン・ディアズ("ベストフレンズ・ウェディング")です。ホットといえば、“ID4(インディペンデンス・デイ)"、"MIB(メン・イン・ブラック)”と2年連続で夏のメガ・ヒットへ主演、“独立記念日男”の異名を欲しいままにしているウィル・スミスが、2年来のガールフレンドで“ナッティー・プロフェッサー”や“セット・イット・オフ”の異色女優ジェイダ・ピンケットとの結婚を噂されながら、とうぶん実現しそうもありません。2年前離婚したばかりのウィルは、再婚よりジェイダと一緒に書いた脚本の映画化が先決問題らしく、それさえ今のスケジュールでは時間が許さないでしょう。現在トニー・スコット監督("トップ・ガン")の話題作“エネミー・オブ・ザ・ステート”へ主演、来年4月には'70年代の人気TV西部劇シリーズ“ワイルド・ワイルド・ウェスト”のリメイク版でジョージ・クルーニー("バットマンとロビン")と共演する他、本業(?)のラップ歌手でも、6月に契約したニュー・レーベルのコロンビアから新アルバムが出ます。“ビッグ・ウィリーズ・スタイル”と題し、彼のライフ・スタイルを描いたアルバムは今月発売です。もう1つのホットな話題が、“バックドラフト、"、アポロ13"、そして最近作“身代金”などで独特の監督技をみせた売れっ子ロン・ハワード監督の次作“エドTV"。脚本は日本企業のアメリカ進出を扱ったコメディー“ガンホー"、ニューヨークへ現われた美しい人魚の冒険を描いたトム・ハンクスのデビュー作“スプラッシュ"、そしてアメリカ国内収益1億ドルを誇る“バックマン家の人々”などを手がけたババルー・マンデルとローウェル・ギャンツのチームが担当します。マシュー・マッコナヒー("コンタクト")主演のこのコメディーは、私生活を24時間ケーブルTVで放映されることに合意したエドという名のビデオ・ストア店員がたどる紆余曲折・・・・・・突然スポットライトを浴びることによって起こる、彼自身や家族、仕事仲間との関係の変化を描いたストーリーは、どことなく僕の作品“アット・ホーム・ウィズ・ウェバーズ”に似ているような気もしますが!?
ボンド vs ボンド
ピアース・ブロズナンが主演するMGM製作のボンドとは別に、ソニーが着々と進めている新007シリーズ企画を巡り、MGMは先月とうとうソニー側を起訴しました。そもそも、英国人プロデューサー、ブロッコリー親子と共に長年のドル箱シリーズとしてボンド映画を手がけてきた老舗MGMスタジオが、元社長のジョン・キャリーをソニーの新社長として引き抜かれたところに端を発します。そして数ケ月前、東京ソニー本社の出井新社長自ら抜擢したキャリーと、1965年度製作の“サンダーボール作戦”や同じショーン・コネリーの007カムバック作で“サンダー・・・”の1983年度リメイク版“ネバー・セイ・ネバー・アゲイン”をプロデュースしたケビン・マックローリーの2人は、ソニーによるニュー・ボンド映画フランチャイズ企画を大々的に発表し、MGMの度肝を抜いたのです。この企画が実現すれば、先月初め1億8千万ドルという多額の株式を上場したばかりのMGMとしては、かなりのダメージが予測されます。そこで彼らは製作スタジオのソニーばかりか、キャリー、マックローリーをMGMから企業秘密を持ち逃げしたスパイ呼ばわりしたあげく、著作権侵害、トレードマーク違反、不当競争、内部情報漏洩などの理由で起訴し、相手の製作や配給を阻止する攪乱戦法へ出ました。対するソニー陣営は、まだニュー・ボンド役こそ決定していないものの、“サンダーボール作戦”の初期の脚本で故イアン・フレミングと共同執筆の経験を持つマックローリー氏のアイデアを活かし、1999年夏をターゲットに映画化を推進する意向です。これを受けたMGM陣営、世界中で3億5千万ドルを売り上げた前作“ゴールデンアイ”を凌ぐ収益が期待される新作“トゥマロー・ネバー・ダイ”の勢いも手伝い、唯一(?)の家宝を全力で守り抜く決意らしく、ますます泥沼化しそうなスパイ合戦、軍配はどちらのスタジオに?
Aリスト
大型予算映画の看板俳優として観客へアピールする少数のスターを、ハリウッドでは「Aリスト」俳優といいます。最近、そのAリスト・スター主演作が立て続きに公開される傾向が目立ち、一部ではそれが客離れに通じるのではないかと懸念しているようです。たとえばジョン・トラボルタ、ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマン、ロビン・ウィリアムスなど、今シーズンだけで3本づつ主演作の公開が予定されており、今年1年を遡(さかのぼ)ればリチャード・ギア、アンソニー・ホプキンス、ニコラス・ケイジなどのAリスト俳優も複数の映画へ主演しました。
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“マッド・シティー”
ホフマンとトラボルタ |
“ジャッキー・ブラウン”
デ・ニーロ |
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往年のハリウッド映画界はスタジオ・システムと呼ばれる長期専属契約制度で製作していたため、数少ない大スターが1年に数本の作品へ主演することは珍しくなく、時の大女優ベティー・デイビスなど1932年だけで10本の作品に主演しています。そのスタジオ・システムが崩壊後、1970年代から'80年代あたりは年1本前後の主演が大スターの証しという風潮で、当時のAリスト・スター、バーバラ・ストライサンドでさえ、'70年代は9本しか出ていません。1967年度製作の“卒業”で一躍スターダムに躍り出たダスティン・ホフマンも、以後10年間、1年1作ペースが続いていたかと思えば、いま公開中の“マッド・シティー”や期待作“ワッグ・ザ・ドッグ”を初め、来年2月封切り予定の“スフィアー”と、60歳になって一番多忙な日々を過ごすという皮肉さです。その“マッド・・・”の共演者ジョン・トラボルタといえば、このところ、やたらと目立つAリスト俳優の筆頭でしょう。1994年、“パルプ・フィクション”で一風変わった殺し屋を演じて以来、ハリウッド映画をプロデュースするマフィアの殺し屋役の“ゲット・ショーティー"、だらしのない天使役の“マイケル"、超能力を授かった田舎青年役の“フェノミナン"、敵と入れ替わるFBIエージェント役の“フェイス・オフ"、銀行をハイジャックする浮かない警備員役の“マッド・・・”と続き、今後も卑しげなアメリカ大統領役の“パーフェクト・カップル"、正義感の強い弁護士役の“シビル・アクション”と、2年間で主演作7本の多忙ぶり。ただ、「次作で“トラボルタ”しなきゃ・・・・・・」などと「カムバック」を意味するハリウッド的“動詞”になった彼とて油断は禁物なのです。「オーバー・エクスポージャー(出過ぎ効果)」の餌食となったいい例がスペイン人俳優アントニオ・バンデラスで、1992年度作“マンボ・キング/我が心のマリア”で注目された当時は無声映画時代の大スター、ルドルフ・バレンチーノの再来などと持てはやされ、続く2年間、“フィラデルフィア"、"愛と精霊の家"、"愛よりも非情"、"インタビュー・ウィズ・バンパイア"、"愛の奴隷”と立て続けに主演したあげく、ファンが飽きてアッという間にAリストから転げ落ちてしまいました。現在売り出し中のマット・デイモン("レイン・メーカー")、クレアー・デインズ("ロミオとジュリエット")、アシュリー・ジャッド("キス・ザ・ガールズ")なども、エージェントは気を遣っている反面、多額のギャラで次々とオファーされる出演契約を断れず、「嬉しい悲鳴」を上げている状態です。出演作品ラッシュのもう1つの原因が、スターの代理人は配給会社が行う宣伝キャンペーンのタイミングをコントロールできないという点で、2〜3本の主演作を続けて撮り終えた後はTVやトーク・ショーのゲスト出演というパターン化の結果、茶の間へ特定のAリスト・スターが頻繁に顔を出す現象となり、そこから観客の「飽き」が始まります。このAリスト俳優の渋滞傾向は、平均製作費が6千万ドル以上のスタジオ映画ばかりではありません。インディーズと呼ばれる独立プロ製作映画でも同じ兆候があって、ハービー・カイテル("パルプ・フィクション")、クリストファー・ウォーキン("ラストマン・スタンディング")といったインディー・Aリスト俳優の顔はあちこちで見かけるほどです。スターとしての勲章が「作品を吟味した少数精鋭主義」から「絶えず出演している仕事人」のイメージへ変わったことは、違った角度からみると、長期契約俳優こそいないFA(フリー・エージェント)制度ながら、ハリウッドが往年の「スタジオ・システム」に戻りつつあるということなのかもしれません。
銀幕へのカムバック
派手なロック・ビートとトム・クルーズの惚れ惚れするようなジェット・パイロット候補生役で大ヒットした1986年度作“トップガン"、あの映画の後、海軍飛行学校への入学志望者が殺到したとまで言われる印象深い作品です。そのトムと恋に落ちる美貌の女性教官役を演じたケリー・マクギリスを憶えている映画ファンは多いと思います。傑作スリラー“刑事ジョン・ブック/目撃者”でハリソン・フォードへ密かに想いを寄せるアミッシュ(ペンシルベニア地方に住む宗教的な地域社会)の未亡人役を熱演、“トップガン”後も“告発の行方”でジョディー・フィスター扮するバーで強姦された気強い女性を弁護する辣腕弁護士を演じて高い評価を得ました。しかし1990年に結婚するや、何でも中途半端が嫌いな彼女はハリウッドのスターダムをキッパリ諦めてフロリダ州キーウェストへ移り住み、ときおり個人的に興味のあるTVドラマへゲスト出演する以外、子育てと主婦業に専念してきたのです。今年で7歳と4歳のケルシーとソノラという2人の娘がいても、やはり「演じる」ことへの執着心は消しがたいのか、昨年あたりから地方の舞台などに立ったり、独立プロ作“ペンティッド・エンジェルス”へ出演するなど、本格的カムバックに備えて準備万端というところ。7年のブランクはあっても実力派のケリー、さっそくクリスマス明けにニューヨークでクランクイン予定の大型企画“サイト・アンシーン(まだ見ぬ場所)”へ出演が決定しました。共演はバル・キルマー("セイント")とミラ・ソルビノ("ロミーとミッシェルの場合")、あの理知的で美しいケリーが母親という“大役”を経験し、更に一皮剥けた演技を見せてくれるのは、もうすぐです!
Merry Christmas
from Hollywood! |
(1997年2月1日)
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