ディズニー・オンラインはここをクリックして下さい
(1999年1月1日)          




A Happy New Year!
from
Hollywood



謹      賀      新      年


新春スタジオ大戦争

昨年度のアカデミー賞では“タイタニック"、"恋愛小説家"、"グッドウィル・ハンティング/旅立ち”など11月〜12月の年末公開作が、なんと53個のノミネートを獲得したことを考えれば、今年のノミネートは最近の話題作から生まれる可能性もじゅうぶん考えられます。下馬評で絶対的強みを見せる“プライベート・ライアン"(作品賞)、“トゥルーマン・ショー"(ジム・キャリー/主演男優賞)、“ワン・トゥルー・シング"(メリル・ストリープ/主演女優賞)ですが、これから3月21日のオスカー本番までアカデミーのメンバーへビデオを送ったり、華々しく繰り広げられる各スタジオのPRキャンペーン戦略を覗いてみましょう。


ディズニー

法廷ドラマ“シビル・アクション”で重厚な演技を見せたジョン・トラボルタを主演男優賞候補、かつて“シンドラーのリスト”で脚色賞を射止めたスティーブ・ザイリアンを再び同賞候補、またロバート・デュバル("アポストル")、ウィリアム・H・メイシー("ファーゴ")、キャサリーン・クインラン("アポロ13")など目を見張る脇役陣を助演賞候補に推しています。

20世紀フォックス


パラマウントと共同製作の“タイタニック”が総なめの昨年度と違い、今年は作品賞の本命“プライベート・ライアン”の対抗馬として、同じ戦争映画“シン・レッド・ライン”で勝負に出ます。1978年度作“天国の日々”が4個のオスカー・ノミネートを獲たテレンス・マリックの監督で、期待の新人エイドリアン・ブローディーをもり立てるのはノミネート経験者ショーン・ペン(1996年度作“デッドマン・ウォーキング")、ニック・ノルティー(1991年度作“サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方")、ジョン・トラボルタ(1995年度作“パルプ・フィクション"、1978年度作“サタデーナイト・フィーバー")、ウッディー・ハレルソン(1997年度作“ラリー・フリント")の豪華キャストです。

ドリームワークス

作品賞やトム・ハンクスの主演男優賞候補など、“プライベート・ライアン”の複数ノミネートはむろん、今年のアニメ・ブームを代表する“プリンス・オブ・エジプト”も作品賞のノミネートを狙っています。1991年のヒット・アニメ“ビューティー・アンド・ビースト”が作品賞にノミネートされた過去の例もあり、また聖書の物語という以外、主題歌“ホエン・ユー・ビリーブ”は2大ポップ・スター、ホイットニー・ヒューストンとマライア・キャリーのデュエットでノミネート確実といわれ、ベビーフェイスのプロデュースということでも注目されています。

ニューライン

ホリデー映画を公開せず、ヤング層へ人気の“プレザントビル”を作品賞候補、また主演賞候補としては“アメリカン・ヒストリー・X”で不気味な演技を披露したエドワード・ノートン("ラウンダーズ")と“リビング・アウトラウド”で自虐的な女性役を熱演したホリー・ハンター("ピアノ・レッスン")が彼らの切り札です。“プレザントビル”のストーリーは“トルーマン・ショー”に酷似している点が少々マイナスかも。

パラマウント

裏金(ドラッグ・マネー)を巡る話題のスリラー“シンプル・プラン”を、そのドラマ性と原作がベストセラー小説ということで作品賞ノミネートへ照準を絞っています。また、墜落機の残骸から現金を発見する兄弟役のビル・パクストンとビリー・ボブ・ソーントン("パーフェクト・カップル")を、これまでとは違った役作りをキーポイントに、“スリング・ブレイド”以来の主演男優賞ノミネートへもっていきたい意向です。


ユニバーサル

オリジナルが7個のノミネートを獲得した“ベイブ”の続編を推奨かと思いきや、昨年の助演男優賞受賞者ロビン・ウィリアムス主演作“パッチ・アダムス”を作品、主演男優候補で推してきました。実話ベースで医学テーマのドラメディーといえば、確かにオスカー受けしそうな気はしますね。

ソニー

2大女優共演の話題作“ステップマム”がコメディーの要素もあるメロドラマなので、作品賞はじめ、スーザン・サランドンを主演女優賞、ジュリア・ロバーツを助演女優賞候補としてダブルノミネートを狙っています。

ワーナーブラザーズ

“ユー・ゴット・メイル”を作品賞、マジック・カップル、トム・ハンクスとメグ・ライアンを主演賞候補として強気の単発勝負です。ロマンチック・コメディーの第一人者ノラ・エフロン監督("めぐり逢えたら")のノミネートは確実視されていますが、皮肉なのは作品および主演候補の最大のライバルが同じくハンクス主演の“プライベート・ライアン”とは・・・・・・




'99年商品提携戦線!




  いよいよ今年の5月21日に封切りが迫る“スターウォーズ、エピソード1/ファントム・メナス”も、PR作戦のほうは一足早く、昨年11月から始まりました。まず、73都市302スクリーンの“限定版”で迫力満点の予告編が2分間流れ、以来、1977年のオリジナル“スターウォーズ”の再来といえるほど活気を帯びつつあります。“ジョー・ブラックをよろしく”上演前に見た予告編(トレーラー)は、「未知の国への誘(いざな)い」とでもいうべく、ルーク・スカイウォーカーの父親がダースベーダーへ変身前の物語という背景を活かし、主演のリアム・ニーソンやイワン・マグレガーの勇姿、そして目を見張るCG空中戦を網羅した“興奮の2分間”を堪能できる内容の濃さです。21年前、初めて“スターウォーズ”を見た時の興奮を思い出させます。その異常な人気は、今ほど商品提携(マーチャンダイズ)が重要視されなかった当時、映画の関連グッズが世界中で20億ドルの驚異的な売上を記録しただけでもわかります。ヨダの瀬戸物人形やダースベーダーの縫いぐるみなどは今や225ドル、実物大のR2-D2たるや7,200ドルと骨董価値がつき、業界はこのトレンドを見逃すはずがありません。今度の“ファントム・・・”では、玩具、清涼飲料、アパレル・メーカー、その他と大規模な商品提携が早々と契約を終えました。ヒット映画の続編といえば、続いて6月11日の封切り作“オースティン・パワーズ2/スパイ・フー・シャッグド・ミー”も大規模な商品提携を契約済みです。“ファントム・・・”で子供層を狙う20世紀フォックスは、大手玩具メーカーのハズボロ社、ガルーブ社と主人公たちのモデル人形販売をはじめ、プラスチック製積み木メーカー、レゴ社やペプシと契約する一方、ティーン層へ絶大な人気の“オースティン・・・”でニューライン・シネマが契約したのは、登場人物関連のボード・ゲームおよび玩具類がカブーム社とアタ・ボーイ社、大手アパレル業者のハリウッド・コスチューム社とは主人公パワーズや天敵ドクター・イビルの衣装をコスチューム化します。ユニークなのが、'60年代ファッションできめたスパイ、オースティン・パワーズ愛用のジャガーXKEのモデル・カーや、同じく彼愛用のマティーニ・グラス、そして“グルービー、ベイビー!"、"オー、ビヘイブ!”など馴染みの台詞を喋る実物大の紙人形といった具合です。1997年度作“オースティン・パワーズ/インターナショナル・マン・オブ・ミステリー”は、アメリカ国内の劇場収益が6千万ドルと予想外のヒットを記録し、200万本のビデオを売りまくって一躍アメリカン・ポップカルチャーへ仲間入りしました。その続編とあって、今回は35のライセンス商品を売り出す計画が決まっています。この夏の商品提携戦線でヒットしそうなその他の作品には、ワーナーブラザーズ製作“ワイルド・ワイルド・ウエスト”や、マクドナルドとマテル玩具とタイアップしたディズニー製作“ターザン”などもある中で、やはり大御所“ファントム・・・”関連商品が市場の75パーセントを占めるというのが大方の予測です。





集団パワー?

彗星の激突から人類を救う荒くれ男達の活躍を、マイケル・ベイ監督("ロック")が得意のパイロ(爆破)テクニックを駆使して描いたSFアクション“アルマゲドン”は、公開以来全世界でヒット中です。成功の秘訣を探ってみると、昔ながらの“集団パワー”スタイルが浮かんできます。それは「まったくタイプの異なる社会のはみだし者たちが、困難な状況下で性格の違いを超えて団結し、最後は世間を見返すヒーローになる」パターンで、「@逞しいリーダー+A参謀格の片腕+B変わり者+C危なっかしい一匹狼=スーパー集団パワー」という図式です。この図式を“アルマゲドン”以下、過去の名作3本に当てはめれば・・・・・・


“アルマゲドン”(1998年)

@ハリー(ブルース・ウィリス)+Aチック("ポストマン”のウィル・パットン)+Bロックハウンド("ファーゴ”のスティーブ・ブシーミ)+CA・J(ベン・アフレック)=地球へ迫りつつある彗星に着陸して核爆弾を仕掛け、“救世主軍団”となるオイル採掘のプロたち。


“ワイルドバンチ”(1969年)

@パイク("慕情”のウィリアム・ホールデン)+Aダッチ("ポセイドン・アドベンチャー”のアーネスト・ボーグナイン)+Bライル("デリンジャー”のウォーレン・オーツ)+Cエンジェル("カリートの道”のジェイミー・サンチェス)=パイクを裏切った悪者に立ち向かう“復讐軍団”と化す無法者(アウトロー)たち。“明日に向かって撃て”や“俺たちに明日はない”などと並ぶ'60年代の代表作であり、銃撃戦へ初めてスローモーションを取り入れたサム・ペキンパー監督究極のマッチョ・ウェスタンです。

“特攻大作戦”(1967年)

@ライズマン少佐("レッドサン”のリー・マービン)+Aジェファーソン(元NFLの花形ランニング・バック、ジム・ブラウン)+Bピンキー("普通の人々”のドナルド・サザーランド)、マゴット(TV“刑事コジャック”のテリー・サバラス)+Cウラディスロー("狼の挽歌”のチャールズ・ブロンソン)=自由の身と引き替えにナチスの城を粉砕する“請負軍団”となる極悪囚人たち。戦争アクション映画の名作であると同時に、自分しか信じられない囚人同士が、戦場という局面下で連帯感を養ってゆく緊迫した人間ドラマでもあります。その後、監督へ転身するジョン・カサベッテは短気な兵士フランコを演じ、アカデミー賞にノミネートされました。

“ロビン・フッドの冒険”(1938年)

@ロビン・オブ・ロックスリー(エロール・フリン)+Aリトル・ジョン("北大西洋”のアラン・ヘイル)+Bフライアー・タック("スミス都へ行く”のユージン・パレット)=シャーウッドの森へ篭もり、庶民を助け、横暴を極めるジョン王子に立ち向かう“自警軍団”となるお尋ね者たち。弓とタイツのロビンを仲間が助ける“集団パワー”の元祖的存在で、白黒のクラシック映画ながら、当時の撮影技術の粋を集めたスリルとサスペンスの物語は、エロール・フリンを一躍スターダムへ乗せたほどです。

他にも“荒野の7人”など、まだまだ“集団パワー映画”があります。皆さんも思い浮かぶ映画をこの図式へ当てはめてみると、案外、多いパターンだと気づかれるでしょう。また、違う角度から眺めてみれば、今後、より映画を楽しむ上で少しは役立つかも?





テーマパークの王者!!

ジェームス・キャメロン監督といえば、その“タイタニック”でディカプリオが言った台詞“アイ・アム・キング・オブ・ザ・ワールド(僕は世界の王者)”のごとく、アカデミー賞を総なめしてハリウッドの帝王の座に着いた感があります。そして、今度はテーマパークのアトラクションでも、その手腕を発揮しそうな雰囲気です。6,500万ドルと破格の予算を注ぎ込み、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド内へ建設中の“ターミネーター2/3-D”がそれで、監督は“ジュラシック・パーク”などの特撮を担当したSFXの天才スタン・ウィンストンと“アビス”のジョン・ブルーノがキャメロンと組み、究極のバーチャル・アドベンチャーを目指しています。「もっとも高価な12分映画」と噂の実写場面は150mx70mという超大型3-Dスクリーンへ映し出され、そこへライブ・アクション・スタントを絡ませたバーチャル・リアリティーの臨場感たるや、まさにド迫力! 主人公のエドワード・ファーロング少年が地球を破滅から救うべく、壮大な戦いに挑む内容は、いわば“ターミネーター2/ジャッジメント・デイ”の続編です。恐竜と対面できる「びしょぬれ請け合い」のアトラクション“ジュラシック・パーク・ライド”が人気を博すユニバーサル・スタジオも映画のほうは不調ですが、今春この新しいVR(バーチャル・リアリティー)アトラクションがオープンすれば、そっちで挽回できるほどの大盛況は、じゅうぶん期待できるでしょう。




(1999年1月1日)

Copyright (C) 1999 by DEN Publishing, Inc. All Rights Reserved.