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(2017年11月)          




リドリーの成長

スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015年)」からスタートした新3部作のヒロイン、レイ役を演じるイギリス人女優デイジー・リドリー(写真)、新人の身から一躍世界で注目を浴びる存在となった彼女が、自身へ起きた変化とファン待望の最新作「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」について語りました。「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還(1983年)」から30年後、消息を絶ったルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の行方をめぐる旅が描かれた「フォースの覚醒」の続編となる「最後のジェダイ」の撮影は、前作で描かれたルークとレイが出会う場面から幕を開けたということです。「じつはマーク(ハミル)との最初の撮影ときは体調を崩してしまい、食べた物を吐いてしまうような状態だったの。だけど今回はとてもうまくいったわ。マークは本当にすごい人。2人でいろいろなものを生み出せたと思う。それに『フォースの覚醒』のころは、あのシーンの先に何があるのかを知らなかったけど、今回は次に何が起こるのかわかっていたから、違う心づもりで臨めたのよ。文字通り、前作の続きから入れたおかげで、素晴らしい撮影となった」とか。そのルークとレイの関係について、2人は父娘なのかという答も「最後のジェダイ」で明らかになると語っていたリドリー曰(いわ)く、「答が何であれ、みんなその瞬間を楽しんでもらえるよう願っているわ。数年前からその答は知っていたけれど、(本作の)ライアン・ジョンソン監督が作り出した物語は私自身も予想がつかないほど素晴らしいもので、正直なところとても感動したし、きっとみんなも心を動かされる瞬間になると思う」とのことです。「フォースの覚醒」での自分の演技を気に入らず落ち込んだリドリーも今ではすっかり成長し、「最後のジェダイ」でどのような演技を披露してくれるか楽しみです。



セクハラ映画化

大物映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(写真)のセクハラおよび性的暴行の暴露記事がニューヨーク・タイムズ紙へ掲載されて以来、ハリウッド業界は大きな騒動に巻き込まれています。そんな中、アメリカの大学構内で多発するレイプ事件へ迫ったドキュメンタリー映画「ハンティング・グラウンド(2015年)」のカービー・ディック監督とプロデューサーのエイミー・ジーリングが、次回作としてハリウッドのセクハラ問題に切り込む作品を製作することを発表しました。ワインスタインのような業界内での権力や地位を利用して行われるセクハラの実態とその隠蔽へ迫る本作についてディック監督は、「議論の余地がある主題を徹底的に調査することが、ドキュメンタリーは他のどのメディアよりもできると思う。ハリウッドの歴史上、決定的なターニングポイントを迎え、私たちがこの映画で描き出そうとしているのは権力者によるセクハラとその隠蔽という業界へ蔓延している流れだ。私たちの映画が、前進と変化を促すため必要な勇気についても強く主張してゆくことだろう」とコメントしています。いっぽう、ジーリングは以前も同様のドキュメンタリー映画を企画したことがあったものの、配給会社や出資会社たちは権力者たちからの報復を恐れ、頓挫してしまったそうです。そんな矢先ワインスタインの問題が発覚し、目に見えないダムが崩壊したような感じだったとディック監督は一件を振り返っています。連日の絶え間ない報道からわかるとおり、ワインスタインのセクハラ問題だけで留まらない底知れぬハリウッドの闇を暴くことができる一作となるのか、大きな注目を浴びそうです。なお、皮肉なのはワインスタイン・カンパニー傘下のラディアスが、彼らの前作「ハンティング・グラウンド」を全米配給していました。



「ローガン」スピンオフ進行中

今年、公開されたヒュー・ジャックマン主演作「LOGAN/ローガン」はR指定ながら予想以上のヒットとなり、公開直後から囁(ささや)かれていたスピンオフ映画の製作がいよいよ実現しそうです。スピンオフ映画では「ローガン」のキー・パーソンであったダフネ・キーン(写真)演じるローラ(X-23)の物語が描かれるとか。「ローガン」で監督および製作総指揮を務めたジェームズ・マンゴールドとプロデューサーのハッチ・パーカーが、いま脚本を待っているところらしく、ハリウッドではウケの悪そうな題材であるスーパー・ヒーローの少女が主人公という題材ではありながら、パティ・ジェンキンス監督作「ワンダー・ウーマン」の世界的ヒットがマンゴールド監督たちの背中を押したといいます。「ローガン」を最後にウルヴァリン役の引退宣言をしたジャックマンは、スピンオフ映画へも係わらないもようです。今後、彼の代わり「X-MENシリーズ」で活躍する次期ウルヴァリン役俳優に広い心で接したいと語っています。というのも、ジャックマンが17年間演じてきたウルヴァリン役は、当初ダグレイ・スコットで決まっていたのがスケジュールの都合で降板しました。それを引き継いだジャックマンへ、「きみはすごい役を手にしたんだよ。思いっきり演じてよね!」とスコットが激励したことに感動したからだそうです。なお、(ジャックマンの)最後の作品となった「ローガン」は17歳以下の観客は保護者が同伴しなくてはないR指定なので、チケットの購入可能な年齢が限られてくるため、興行収入はR指定なしの作品よりも低くなる傾向があります。R指定を望んだジャックマンは、そのため自身の出演料カットを受諾していたようです。製作スタジオ側がこの申し出を受けたのは、「デッドプール(2016年)」がR指定作品史上最高の興行収入をたたき出し影響も大きいでしょう。



ゴールドブラムの新作

人気シリーズ第3弾「マイティ・ソー バトルロイヤル」では、アベンジャーズの一員として地球の危機を救ってきた雷神ソー(クリス・へムズワース)が故郷アスガルドを死の女神ヘラ(ケイト・ブランシェット)に奪われ、自身は辺境の惑星サカールへ飛ばされてしまいます。そこで再会した義弟で宿敵のロキ(トム・ヒドルストン)、アベンジャーズ仲間のハルク(マーク・ラファロ)、ワケありの女戦士ヴァルキリー(テッサ・トンプソン)と型破りなチーム「リベンジャーズ」を結成し、ヘラに立ち向かうという内容です。今回、マーベル・スタジオ作へ初出演したのがジェフ・ゴールドブラム(写真)で、メガホンをとった気鋭タイカ・ワイティティ監督がアドリブや即興演技を重視した結果、シェイクスピア的な荘厳さを漂わせていたソーの戦記が自由なコメディ色をまとった冒険活劇へと変貌しました。一連の「ジュラシック・パーク」や「インデペンデンス・デイ」の個性派俳優としてお馴染みのゴールドブラムは、サカールの支配者グランドマスター役で得意のアドリブを炸裂させていますが、主演のへムズワースについては「コメディの達人だ。この映画でそれが完全に発揮されていて嬉しいね」と太鼓判を押しています。彼の演じるグランドマスターは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で登場するコレクターの兄弟であり、同役のベニチオ・デル・トロの演技も役作りへの参考にしたというゴールドブラム、ソーとロキの義兄弟の関係を、「お互いのことを愛しているが、自分たちの共有する父親へタペストリーのような複雑に絡み合ったものがある」と分析し、「2人の関係は、このシリーズを通して進化し、その正体が現われるんだ。それは特に面白いと感じたし、彼らの演技や駆け引きはとても楽しめる」と、父親のような優しさを滲(にじ)ませながら語りました。



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