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(2018年1月)          


A Happy New Year!
from
Hollywood

今年も「ハリウッド最前線」を
よろしくお願いいたします!



賞レースの台風の目

フィギュアスケート史上、最もスキャンダラスな元オリンピック代表選手トーニャ・ハーディングをマーゴット・ロビーが熱演し、本年度賞レースの台風の目となっているのが「アイ、トーニャ(写真)」です。貧しい家庭で幼いころから厳しく育てられたハーディング(ロビー)は、その才能と努力でアメリカ人初のトリプルアクセルを成功させ、1992年アルベールビル、続く1994年リレハンメルと2度のオリンピック代表選手となりました。しかし、彼女の良人であったジェフ・ギルーリー(セバスチャン・スタン)の友人がハーディングのライバルであるナンシー・ケリガンを襲撃したことで、彼女のスケート人生の転落が始まります。一度は栄光をつかみ、アメリカ中から愛されながらも、フィギュア界から追放され、プロボクサーへ転身したハーディングの波乱万丈な半生を描き出す本作。アメリカ人初のトリプルアクセルを飛んだオリンピック代表選手にして、フィギュアスケート史上最大の事件「ナンシー・ケリガン襲撃事件」の渦中にいたハーディング。スケート・シーンも含め、その話し方や立ち振る舞いまで完全コピーしたロビーをはじめ、強烈な個性のハーディングの「毒母」ラヴォナを演じたアリソン・ジャネイなど、役者たちの力強い演技と、その波乱な人生は賞レースでも注目の的です。現在、2018年アカデミー賞へ向けた前哨戦の中でも多数のノミネートや受賞を獲得し始めており、すでにハリウッド映画賞においてジャネイが助演女優賞、およびアンサンブル賞を獲得し、今月、授賞式が行われる第75回ゴールデン・グローブ賞のノミネート候補としても有力な1作として数えられています。先月(12月)8日に全米公開された「アイ、トーニャ」、日本での公開は今年(2018年)の初夏の予定です。



ヘルムズの新作

「ハングオーバー・シリーズ」のエド・ヘルムズ(写真)が、話題のコメディー作「ファーザー・フィギュアズ」について語りました。本作は「ハンクオーバー・シリーズ」で撮影監督を務めたローレンス・シャーがメガホンを取ったコメディーで、40代の兄弟ピーター(ヘルムズ)とカイル(オーウェン・ウィルソン)は、風変わりな母親ヘレン(グレン・クローズ)から、2人の父親が幼い時に亡くなったというのは嘘だったと明かされます。本当の父親が誰だかわからないとはぐらかす母親をおいて、2人は父親探しの旅へ出ますが、道中で次々と思わぬ出来事に巻き込まれてゆくという内容です。ヘルムズはシャーとの再タッグを、「ローレンス(・シャー)は共に困難な撮影を乗り越えてきた戦友だよ。以前から素晴らしい監督になると思っていた。なぜなら、彼は繊細な感覚や、セットでスタッフをまとめるコミュニケーション能力とリーダーシップがあるからね。とうとう監督をやり遂げたんだ」と語っています。また、アメリカン・フットボールの祭典、スーパーボウルを4度制した伝説の選手であるテリー・ブラッドショーとの共演を、「彼は素晴らしい俳優でもあったよ。選手としてクォーターバックで活躍した時と同様、すごかったね! 対面している時も、スクリーンの中でも、信じられないくらいカリスマ性があるんだ。4度もスーパーボウルで勝利し、俳優としても演技がうまく、加えて一緒の時間を過ごしていて、とても面白い人だなんて、公平じゃないよね」と笑顔で答えました。本作の見どころは、「ロード・トリップのコメディー作だから、一時的な事象が次々と起きてゆくんだ。でも、家族とアイデンティティーという大切な問題を解決していく設定を気に入っているね。全体を通して笑いながらも、胸を刺すようなシーンで時々ハッとさせられることもあるんだ」そうです。



ワインスタインのブラックリスト

去年の11月のコラムで取り上げたハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ事件は、その後、鳴りを潜めたように思われる中、ピーター・ジャクソンが「ロード・オブ・ザ・リング(2001年)」へアシュレイ・ジャッド(写真)とミラ・ソルヴィノの出演した可能性があると明かしました。しかし、ワインスタインは彼女たち2人が「悪夢」であり、全力を挙げて阻止するよう警告したそうです。'90年代後半、ジャクソンは「ロード・オブ・ザ・リング」をワインスタインが弟のボブと設立したミラマックスに持ち込みました。そこで、ジャッドとソルヴィノの2人を悪夢だと言っていたワインスタインの言葉を思い出し、ジャクソンは2人を避けなければならないと考え、それがたぶん1998年だったとニュージーランドの現場のスタッフへ語っています。ジャクソンはまた、「彼らがいったい何を考えているのか、当時の我々は疑問を抱くような立場ではなかったが、振り返ってみると、これはミラマックスの汚いキャンペーンが本格化していた可能性が高いと気づく。私は今、これらの才能ある女性の両方について虚偽の情報が与えられたと疑っており、その結果、2人の名前はキャスティング・リストから削除されたんだよ」とも語っています。続けてワインスタインこそが本当の悪夢だと言ったジャクソンは、「ニューラインが製作を引き継ぐ前、ミラマックスが『ロード・オブ・ザ・リング』をコントロールしていた時の私の経験では、ワインスタインと彼の弟が、まるで二流マフィアのいじめのような行動をとっていたんだ。彼らは私が一緒に仕事をしたいタイプでなく、したがって私は(彼らと仕事を)しなかった」と締め括っています。この話を聞いて、ワインスタインのブラックリストへ載った張本人であるジャッドが、「これはよく憶えている」というツイートで反応しました。



タランティーノの新作

クエンティン・タランティーノ(写真)監督が手がける「スター・トレック・シリーズ」の最新作へ、「レヴェナント 蘇えりし者(2015年)」の共同脚本家マーク・L・スミスが起用されました。パラマウントの製作するリブート版シリーズ第4弾となる本作は、先月(12月)初旬、タランティーノが製作総指揮のJ・J・エイブラムスに新作のアイデアを提案したと報じられた直後から、プロジェクトは急ピッチで進展しています。スミスをはじめ、リンジー・ビア、ドリュー・ピアース、ミーガン・アムラムらが企画開発へ参加し、メガホンはタランティーノがとり、R指定になるようです。タランティーノ自身は現在、9作目となる長編の準備中で、2018年春から夏への撮影を予定しています。このほど起用されたスミスが、多忙なタランティーノに代わり「スター・トレック」新作の脚本を執筆するもようです。「モーテル・シリーズ」の脚本を手がけてきたスミスは、エイブラムスの製作会社バッド・ロボットとパラマウントが製作するアクションスリラー「オーバーロード」の脚本も担当してます。いっぽう、タランティーノの次回作は、故チャールズ・マンソン率いるカルト集団マンソン・ファミリーの残忍な殺人事件で全米を震撼させた1969年夏が題材となり、ソニーが争奪戦の末に獲得しました。来年(2019年)8月9日全米公開の予定です。なお、「スター・トレック」のタランティーノの監督は思わぬところへ波紋を広げ、TVシリーズ「新スター・トレック」でピカード艦長役を演じたパトリック・スチュワートが、タランティーノの監督ならシリーズ復帰に意欲的であることを明かしました。彼は、「タランティーノ監督の大ファンで、彼と仕事をするのが長年の夢だったから、もし彼がメガホンをとることになったら、喜んでまたジャン=リュック・ピカード役を演じさせてもらうよ」と意欲満々に語っています。



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