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(2019年2月)          




オスカー・レース先行馬

年々開催日が早くなり、今年は今月(2月)24日の第91回アカデミー受賞式に先立ち、恒例の「ハリウッド最前線」の予想結果をお届けします。

「ROMA/ローマ」
 
アルフォンソ・
キュアロン
クリスチャン・
ベール
グレン・
クローズ
作品賞

「アリー/スター誕生」、「ブラック・クランズマン」、「ブラックパンサー」、「ボヘミアン・ラプソディ」、「女王陛下のお気に入り」、「グリーンブック」、「ROMA/ローマ」、「バイス」の8作がノミネートされた中から・・・・・・
本命馬: 「ROMA/ローマ」
対抗馬: 「グリーンブック」
大穴馬: 「アリー/スター誕生」
監督賞

アルフォンソ・キュアロン(「ROMA/ローマ」)、ヨルゴス・ランティモス(「女王陛下のお気に入り」)、アダム・マッケイ(「バイス」)、スパイク・リー(「ブラック・クランズマン」)、パヴェウ・パヴリコフスキ(「COLD WAR あの歌、2つの心」)がノミネートされた中から・・・・・・
本命馬: アルフォンソ・キュアロン
対抗馬: スパイク・リー
大穴馬: ヨルゴス・ランティモス
主演男優賞

クリスチャン・ベール(「バイス」)、ブラッドリー・クーパー(「アリー/スター誕生」)、ラミ・マレック(「ボヘミアン・ラプソディ」)、ヴィゴ・モーテンセン(「グリーンブック」)、ウィレム・デフォー(「永遠の門 ゴッホの見た未来」)がノミネートされた中から・・・・・・
本命馬: クリスチャン・ベール
対抗馬: ラミ・マレック
大穴馬: ウィレム・デフォー
主演女優賞

オリヴィア・コールマン(「女王陛下のお気に入り」)、グレン・クローズ(「天才作家の妻 40年目の真実」)、レデキー・ガガ(「アリー/スター誕生」)、メリッサ・マッカーシー(「キャン・ユー・エヴァー・フォーギヴ・ミー?」)、ヤリッツァ・アパリシオ(「ROMA/ローマ」)がノミネートされた中から・・・・・・
本命馬: グレン・クローズ
対抗馬: オリヴィア・コールマン
大穴馬: メリッサ・マッカーシー
「バイス」のクリスチャン・ベールなど、特殊メイクでとても本人とは思えません。さあ、今年の予想結果も去年のようにパーフェクトとなるか!?



名前の変更

ジェームズ・キャメロンの製作脚本で木城ゆきとの漫画「銃夢」を実写化した「アリータ:バトル・エンジェル」の記者会見が、先日(1月24日)、韓国のソウル市内のホテルで開催され、ロバート・ロドリゲス監督(写真左)、アリータ役のローサ・サラザール(写真中央)、プロデューサーのジョン・ランドー(写真右)が登場しました。本作は25年前に原作を読んだキャメロンが映画化を熱望して版権を収得したものの、当時は技術的な問題から「アバター(2009年)」が先行して制作されています。2005年、キャメロンから脚本とアートボードを見せられたロドリゲスは、「とにかく脚本の完成度が高く、これは絶対、面白い映画が出来上がると感じたよ。キャメロンの脚本やデザイン・アートを生かしつつ、原作漫画を何度も読み返して自分たちなりに解釈し、原作を知らない観客へも楽しめる映画が作れたと思う」と、本作の仕上がりに満足している様子。そして、原作への思い入れならサラザールも負けてはいません。「漫画をしっかり読み込んで、漫画の中のキャラクターを最大限表現しようと努力したわ」と役作りへ集中していたことや、アクション・シーンのため5ケ月間練習したことを明かしています。また、彼女が着たモーション・キャプチャー・スーツと顔の動きをデータ化しての映像化に関して、CGチームの技術力へいたく感嘆しているもようです。そんなサラザールが演じる主人公(ヒロイン)は、原作でガリィであったのが映画化にあたりアリータへ変更されました。これについてランドーは、「映画化の際、グローバルな名前へ変更しようと考えたんだ。アジアだけでなく、ラテン・アメリカなどでも(アリータなら)通用すると思う。アリータの目がCGで大きくなっているのは、原作との視覚的な違いを出したかったからさ」と説明しています。



ノミネート取り消し

ブライアン・シンガー監督の未成年性的暴行疑惑を受け、「ボヘミアン・ラプソディ(写真)」は第30回GLAAD(中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟)メディア賞の最優秀映画部門でのノミネートを取り消すという発表がありました。その理由は、先日の米アトランティック誌がシンガーはハリウッドでの立場を利用して少年たちへ不適切な行為をさせていたという告発記事を掲載したことを重く受けたからだといいます。シンガーは2014年と2017年にも訴訟を起こされ、一貫して疑惑を否定しており、今回も「同性愛者を嫌悪する記者が書いた記事」だと反論。GLAADの声明では、「若い青年やティーンエイジャーたちが耐えた言語に絶する仕打ちへの今週のアトランティックの記事は、無視することなどできない現実を明るみに出しました。そして、この性的暴行疑惑から注意をそらすため、シンガーが不当にも『同性愛嫌悪』という言葉を使っています。我々は変革の真っただ中にいて、性的暴行や暴力の信憑性のある告発があったとしても、いつも通り仕事を続けられる時代は終わりました。今回の申し立てに対するシンガーの反応へはぞっとさせられます。真剣に受け止め、捜査されるべきです」と書かれています。「ボヘミアン・ラプソディ」に関しては、先日第91回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、音響編集賞、録音賞、編集賞の計5部門へノミネートされたことも話題になり、シンガーは監督としてクレジットされているものの、撮影残り2週間というところで現場に来なかったとして解雇されいるのです。結局、第30回GLAADメディア賞の最優秀映画部門へは「ブロッカーズ」、「クレイジー・リッチ!」、「デッドプール2」、「蜘蛛の巣を払う女」、「Love、サイモン 17歳の告白」がノミネートされました。



DV男性の表と裏の顔

第74回ベネチア映画祭で最優秀監督賞に当たる銀獅子賞を受賞した「ジュリアン(写真)」の基となった短編映画「すべてを失う前に」のメガホンをとったグザビエ・ルグラン監督が、インタビューでこれらの映画の背景を語っています。「ジュリアン」は、良人の暴力(DV)が原因で離婚した夫婦の間で揺れ動く息子ジュリアン(トーマス・ジオリア)を通して、家族の関係を繊細かつサスペンスフルに捉えた物語です。フランスでは観客動員数40万人を記録しました。その「ジュリアン」の前身となる短編「すべてを失う前に」を、ルグランは2012年、ほぼ同じキャストとスタッフで製作し、DVを繰り返す良人から逃げる妻の1日を描いています。それが2014年、フランス版アカデミー賞として知られる第39回セザール賞で最優秀短編映画へ選ばれ、さらに第86回アカデミー賞の短編実写映画賞へノミネートされました。長編の製作へ至った経緯についてルグランは、「『すべてを失う前に』の脚本へ着手した時から、続編の製作を念頭に置いていたんだよ。暴力が原因で離別する夫婦を3つの期間に分けて追う映画を作りたかった。短編では時間が足りないと気づいたのさ」と振り返っています。2つの作品で良人アントワーヌ・ベッソン役を演じたドゥニ・メノーシェも自らの役どころについて、「彼は自己愛の強い変質者で、表向きとても愛想がよくて愉快な男なんだ。でも身内へは侮辱したり、けなしたり、暴力を振るったりする。その結果、妻には選択肢がなくなった。良人は罵倒するだけで自分の非を認めず、疑問を投げかけても無視して答えない。そうして優位に立つことしか考えていないんだよ」と、複雑な夫婦の関係を語りました。レア・ドリュッケールが妻ミリアム・ベッソン役を演じるリアルすぎる夫婦の離婚劇は、親権を巡る裁判ドラマが途中から急展開を見せます。



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