京都で小籠包を


 小籠包の起源は、1871年に中国の嘉定県南翔鎮(今の上海市嘉定区南翔鎮)の菓子屋「古猗園」の店主黄明賢が売り出した「南翔大肉饅頭」だと言われていますが、中国ばかりでなく台湾も小籠包の有名店は少なくありません。また、アメリカや日本へ進出している店の多くがルーツは台湾であり、今回ご紹介する京都の小籠包が売り物の店も、いわゆる台湾スタイルです(便宜上、料理の写真へ番号を付けてありますが、これらの番号は店と無関係です)。

魏飯夷堂(ギハンエビスドウ)
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■魏飯夷堂(ギハンエビスドウ)

gihanebisudo.com
京都市中京区三条岩上西入る橋西町661
075-841-8071

 三条商店街の「魏飯夷堂(ギハンエビスドウ)」のオーナー・シェフ魏禧之(ギ ヨシユキ)は、もともと神奈川県横浜市生まれで11歳の時から実家である横浜中華街の湖南料理店「明揚」の厨房に立ち、18歳より全国の有名中華料理店で修業、その後、中国へ渡り特級調理士の資格を取得しています。帰国後、横浜中華街「萬珍楼」で修行を積み、1996年、京都に創作中華「一之船入」をオープンしたのが最初で、この魏飯夷堂は2010年オープンの2号店です。

 魏が目指しているのは、食べ物で病気を予防する「医食同源」の思想をとり入れ、美味しくて身体によい料理作りへ取り組む。食材も美味しいだけなく、安全で作り手の真心を感じられる野菜を使いたいということで、彼が使用しているのは契約農園の無農薬野菜です。もちろん肉や魚、フルーツなど、その他の食材も厳選、どこで穫れたのかわからないものは何一つありません。こうして食品管理を徹底しています。

 ちなみに、この魏飯夷堂三条店の後も魏は精力的な活動を続け、2013年の魏飯夷堂北新地店オープンや続いて京都タワービル地下1階へ魏飯吉堂(ギハンハジメドウ)、そして花街祇園にGYOZA8をオープンするほか、中国より最高級調理士の資格を授与(2005年)されたり、台湾美食展世界中国料理大会銅賞を受賞(2009年)しました。

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 写真は左から「小籠包(#1)」、「トリュフ小籠包(#2)」、「フカヒレ小籠包(#3)」、「バクチー小籠包(#4)」、「海鮮の餡かけ炒飯(#5)」。

鼎泰豐(ディンタイフォン)
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■鼎泰豐(ディンタイフォン)

d.rt-c.co.jp/shop/kyoto
京都市下京区四条通河原町西入真町52 高島屋京都店3F
075-252-7992

 ミシュラン・ガイドへも掲載された台湾を代表する小籠包レストラン「鼎泰豊(ディンタイフォン)」、台湾内でもいくつか店舗があるものの、永康街の本店には限定メニューのスープ小籠包もあり旅行者の長蛇の列が絶えません。ひだの数まで細かく決められているという芸術的な小籠包は、今やロサンゼルスや京都ばかりか世界各地で食べられます。

 1958年、台湾台北市で食用油を取り扱う油問屋として創業した鼎泰豐は、1972年に小籠包を始めとする点心料理の販売を始め、新聞や雑誌のグルメコーナーでも紹介される人気レストランとなりました。1993年、ニューヨークタイムズ紙で「世界の人気レストラン10店」の1つへ選ばれ、一躍知名度が上がると同時、台湾国外からも多くの観光客が来店する世界的なブランドとなるのです。

 ただ、世界的なブランドとなり、世界的な展開を始めると、国によって随分味の違いは出てきます。私自身、長年ロサンゼルス店へ通っていて味の素を使わないシンプルな味に感動したのが、何年か経って帰国した時、初めてこの京都店を訪れると味の素独特の後味が強く残り、聞いてみると、やはり味の素を使っていました。つまり、ミシュラン・ガイドへ掲載された店と聞いて台湾人のやっているロサンゼルス店の味はじゅうぶん納得できますが、残念ながら日本人のやっている京都店は何クラスか下です。それでも、日本で食べられる小籠包の店として鼎泰豐を外すわけにはいきません。

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 写真は左から「小籠包(#6)」、「おつゆ入り餃子(#7)」、「ホタテ小籠包(#8)」、「トリュフ小籠包(#9)」、「たばら蟹の炒飯(#10)」。

台湾タンパオ
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■台湾タンパオ

taiwantanpao.com
京都市中京区東側町503-18
080-5375-2239

 過去6年間、「台湾タンパオ」は大阪や神戸で数多くの店舗を展開していますが、京都新京極店は去年(2017年)の6月にオープンしたばかりです。「小籠包」でなく「小籠湯包」という表記へこの店のこだわりがうかがえます。

 小籠包は中華料理の中でも最も繊細で手間のかかる点心の一つ、小麦粉を薄く伸ばしたしなやかな皮に新鮮な豚の挽肉をくるみ、蒸籠で蒸して作られます。挽肉とともに薄い皮の中へたっぷりのスープを包み込むには熟練の技術を要し、食べた時スープがあふれる本物の小籠包と、そうでないものを区別するため、台湾では「小籠湯包」という名前で呼び、スープを閉じ込めて調理する技術を持たない店は小籠湯包という名前を用いることができません。

 現在のところ台湾タンパオは、四天王寺店、日本橋店、日本橋黒門市場店、心斎橋船場、名古屋大須店、西早稲田店、大阪天五店、京都新京極店、神戸南京町店、神戸三宮生田ロード店の10店舗を展開しています。

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 写真は左から「台湾小籠湯包(#11)」、「台湾かに小籠湯包(#12)」、「夜市むし餃子(#13)」、「ぎっしり肉焼売(#14)」、「夜市肉まん(#15)」。

 今回、ご紹介したのはあくまでも小籠包がメインのレストランです。いっぽうで点心を出しているような中華料理屋なら、まず小籠包はあるでしょう。たとえば、龍門の小籠包なんかも悪くありません。

横 井 康 和      


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