京都で豚しゃぶを


 前回のとんかつに引き続き、今回も豚料理です。京都独特の「豚しゃぶ」で、いわゆるしゃぶしゃぶのたれは使わず、出汁の効いたつゆにネギと薬味をたっぷりと入れていただくため、「出汁しゃぶ」とか「つゆしゃぶ」とも呼ばれています。私自身、10数年前に帰国した頃から食べ始めたのですが、当時はまだ「CHIRIRI(ちりり)」ぐらいしかありませんでした。それが、ここ何年かでかなり増え、各店舗の東京への進出も目覚ましいものがあります。今や安倍首相まで行くというトレンドのいっぽうで、店舗を拡張しているレストランほど旅館の料理のようなメニュー構成になってきているのは、やや寂しくもありません(便宜上、料理の写真へ番号を付けてありますが、これらの番号は店と無関係です)。

瓢斗(ひょうと)
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■瓢斗(ひょうと)

www.hyoto.jp
京都市中京区山伏山町550-1 明倫ビル1F
050-5868-9916

 2003年のオープン以来、帰国するたびに立ち寄っていた「瓢斗」は、もともとCHIRIRIという名前で、今の四条通りの北側でなく南側にありました。この店で初めて出汁しゃぶを知り、(ほぼ年1回のペースで帰国するたび)通い始めたところ、2012年、近江八幡のつゆしゃぶ「ひょうたんや」が同名(CHIRIRI)で全国チェーンを展開しており、そちらへ商標を取得された結果、同年5月から瓢斗に変わったのです。

 そのあたりの事情は女将から聞かされており、裏でいろいろあったらしく、瓢斗の運営会社概要で2003年にCHIRIRIがオープンしたというのは当たり前として、現CHIRIRIの運営会社概要でも2003年にCHIRIRIがオープンとなっています。つまり、2つの企業の会社概要へ同一店舗が掲載されており、こういう状況は本来なら共同経営でない限り起こりえません。

 そういった灰色の部分はさておき、間もなく四条通りの南側から北側へ移った瓢斗が、活発な動きを見せ始め、京都駅の近くにもう1軒瓢斗をオープンする他、「瓢喜(ひょうき)」の名前で東京へ続々と店を出します。現在、東京の瓢喜が7店舗と北京が1店舗、その他、やはり東京で「瓢喜 香水亭」を3店舗展開するというハイペースです。まだ1店舗だった頃、1年振りに帰国して立ち寄ると、私は相手の顔を憶えていないウェイトレスから、「いつお帰りになったんですか?」と聞かれたのが懐かしく思い出されます。

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#5

 写真は左から「紙の鍋(#1)」、「つゆ(#2)」、「ネギと薬味(#3)」、「野菜(#4)」、「豚(#5)」。(四条通りの南側から北側へ)引っ越す以前はここもステンレスの鍋を使っていました。個人的には、そちらのほうが好きです。

山福
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■山福

kifuku.sakura.ne.jp/yamafuku/
京都市中京区木屋町通三条下る材木町187
075050-5595-8903

 ちょうど瓢斗が四条通りの南側から北側へ移った頃から通い始めた「山福」は、同じ豚しゃぶでも「あごつゆしゃぶしゃぶ」を売り物として2011年に先斗町と木屋町の間の細い路地へオープンしました。個人的に一番好きな店です。あご出汁を使っているところが瓢斗との大きな違いで、あごを取り出した後、豆乳を入れるのもこの店独特です。豆乳を嫌いな方へは最初に確認してくれます。

 帰国するたび立ち寄るようになるのと並行して、時期的に京都では外人観光客がどんどん増え、彼らの間で人気のあった山福はそれ以上のペースで外人観光客が増えてゆきました。私自身、京都へ行くロサンゼルスの友人にこの店を推薦したところ、えらく感謝される結果となったぐらいです。ちなみに現在、山福は姉妹店であるもつ鍋の「亀八」も3店舗展開していますが、すべて京都市内で、豚しゃぶは1店舗に留めています。

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#10

 写真は左から「あごで出汁を取っているところ(#6)」、「出汁を取り終わったあごを取り出して豆乳を入れたところ(#7)」、「つゆとネギと薬味(#8)」、「野菜(#9)」、「豚(#10)」。

CHIRIRI(ちりり)
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■CHIRIRI(ちりり)

www.chiriri.co.jp/kyoto/
京都市上京区大門町265
075-222-5557

 CHIRIRIは「つゆしゃぶしゃぶ」を売り物にしています。基本的な豚しゅぶは瓢斗と変わらず、そこへ親会社である近江八幡のひょうたんやを反映して近江牛などの様々なメニューが追加されています。ただ、豚しゅぶと近江牛の2大路線は、どうしても豚しゅぶの格を下げてしまうのではないでしょうか?

 ここで、ひょうたんや(現CHIRIRIの運営)会社概要で2003年にCHIRIRIがオープンとなっている件へ話を戻し、その時点でじっさいにCHIRIRIをオープンしたは先の瓢斗です。現在、全国の瓢斗を運営している株式会社「mihaku」の会社概要でも、「2003年10月:『瓢斗京都店』創業出汁しゃぶを名物とする1号店を京都烏丸に出店」とあり、この瓢斗京都店がCHIRIRIのことであるのはいうまでもないでしょう。やはり、現CHIRIRIが旧CHIRIRIを一部取り損ねたのでは?・・・・・・ともあれ、どちらも美味しい豚しゃぶを出してくれれば文句などありません。

 現在、CHIRIRIは京都本店と草津店、そして東京に京橋店、虎ノ門店、六本木店の3店舗の他、滋賀で「つゆしゃぶ駒吉」と「日本料理ひょうたんや」の2店舗を展開しています。そして、これら7店舗へ、2020年までに10店舗、2025年までに20店舗の拡大を計画中だそうです。

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 写真は左から「鍋はステンレス(#11)」、「つゆ(#12)」、「ネギと薬味(#13)」、「野菜(#14)」、「豚(#15)」。

 ふつうの豚しゃぶなら、ロサンゼルスでも「しゃぶ八」などのしゃぶしゃぶ屋で牛でなく豚を選べば済む話で、私も定期的に通っていました。こういうパターンの豚しゃぶは、もちろん日本中で食べられます。上記の出汁しゃぶとかつゆしゃぶが、それらの豚しゃぶとまったく別物であることを最後に再確認しておきたいと思います。

横 井 康 和      


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