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(2019年6月)          




黒人武士、その名は弥助

誰もが知る戦国時代の大名織田信長、その信長に仕えていた黒人武士弥助(写真)を知っていますか? 天正7年(1579年)、弥助は宣教師とともに奴隷として来日、献上品という扱いで信長の元へやってきます。しかし信長が彼を気に入り、「弥助」という名前を与え側近として迎え入れました。日本の歴史上、アジア人以外で武士となったのは弥助だけです。そんな戦国時代の黒人武士弥助をテーマにした映画「ヤスケ(Yasuke)」の企画が、現在ハリウッドで進行中。そして、「ブラックパンサー(2018年)」のチャドウィック・ボーズマンが弥助役を演じます。彼はこれまで「ブラックパンサー」のティ・チャラ役以外、「42 〜世界を変えた男〜(2013年)」でジャッキー・ロビンソン役を、「ジェームス・ブラウン 〜最高の魂を持つ男〜(2014年)」でジェームズ・ブラウン役を、「キングのメッセージ(2016年)」でジェイコブ・キング役を、「マーシャル 法廷を変えた男(2017年)でサーグッド・マーシャル役を演じてきました。また、現在公開中の「アベンジャーズ/エンドゲーム」で再びブラックパンサー(ティ・チャラ)役を演じた後、STXエンターテインメントのアクション作「17ブリッジズ」がこの夏の公開を控えており、プロデューサーを兼任するボーズマンは主人公であるNYPD(ニューヨーク市警)の刑事アンドレ・デーヴィスを演じます。その次が「ヤスケ」へと続き、ボーズマンは主演ばかりでなく本作でもプロデューサーを兼任し、他のプロデューサーとしてマイケル・デ・ルカらが参加、脚本は「ナルコス(2015年)」の共同プロデューサーの1人であるダグ・ミロが担当するそうです。その他のキャストや公開時期、日本での公開予定など詳しい情報はまだ発表されていません。日本人俳優の起用なども気になるところですね。



リサイクル・ファッション

今年のカンヌ国際映画祭で注目を集めたエルトン・ジョンの伝記映画「ロケットマン」、出演者の1人であるブライス・ダラス・ハワード(写真)がレッドカーペットでのファッションについてある宣言をしています。アウト・オブ・コンペティションの作品として選ばれた「ロケットマン」のプレミアへ出席するためカンヌ国際映画祭を訪れていたハワードは、レッドカーペットでリサイクルした洋服を着たいと思っていることをインスタグラムで明らかにしました。「私は今カンヌへ来ているわ。つまり、わかると思うけれど豪華に着飾るシーズンよ! いつもプレスツアーの服を買うとき葛藤があったの、そういう服は一度しか着ないから。私自身、これまでプレスツアーの服を借りるのでなく買っていたんだけれど、それが全くサステナブルな行動ではないということに気がついた。ここ数年、私はプライベートで服を買うとき『The RealReal』という中古ラグジュアリー・ファッションの売買アプリで服を買ったりリサイクルしたりしていたの。だから、この『ロケットマン』のプレスツアーでもリサイクルの服を使うことや、以前買ったドレスの再利用を課題にしたいと思う」と述べています。ドレスや靴、サングラス、また同作のプレミアでも「The RealReal」で買ったグッチのドレスやリームアクラのベルトを着用しているとか。リサイクル・ドレスで記者会見へ臨んだ彼女は、「カーテの水玉ドレスを着るとフランス人の女の子になったみたいな気分よ」とコメントしました。なお、カンヌでサステナブルなレッドカーペット・ファッションが話題となったのはこれが初めてではありません。昨年のカンヌ映画祭でケイト・ブランシェットが4年前のゴールデングローブ賞授賞式で着用したアルマーニ・プリヴェのドレスを着回し、注目を集めました。



アイアンマンの後は?

現在ヒット中の「アベンジャーズ/エンドゲーム」で10年以上に及ぶアイアンマンことトニー・スターク役を終えたロバート・ダウニー・Jr(写真)は、動物と会話のできる獣医ドリトル先生を演じる「ボヤージュ・オブ・ドクター・ドリトル」の撮影が完了し、こちらもシリーズ化を狙っているようです。このヒュー・ロフティングの児童書「ドリトル先生シリーズ」を実写化した映画のクランクアップまでにはいろいろあったみたいで、ジョナサン・リーベスマン(「タイタンの逆襲」、「ミュータント・タートルズ」)指揮のもと大規模な再撮影を行っています。動物と会話ができるエキセントリックな医学博士ドリトル先生の冒険という設定上、映画の大半を占めるのはCGで描かれた動物たちと実写のドリトル先生の絡みです。メガホンを取ったのが社会派ドラマを得意とするスティーブン・ギャガン(「トラフィック」、「シリアナ」)で、CGを多用したコメディ色の強い作品は初めてでした。昨年の10月、ギャガン監督によるラフカットを観て不安を抱いた製作陣が撮り直しを決定し、クリス・マッケイ(「レゴバットマン ザ・ムービー」)へ脚本の加筆修正を依頼、同時に製作配給元のユニバーサル・ピクチャーズは、全米公開を当初予定していた今年の4月12日から来年(2020年)1月17日へ延期すると発表しています。ただ、21日間に及ぶ再撮影でギャガンのスケジュールの都合がつかなかったため、マッケイと過去にタッグを組んだ経験のあるリーベスマン監督へバトンは引き継がれましたが、最終的にはギャガンが監督としてクレジットされるそうです。それ以外のダウニー・Jrの主演作では、ジェイミー・フォックスの長編監督デビュー作「オールスター・ウィークエンド」が撮影済みの他、「シャーロック・ホームズ」第3弾の製作も決定しています。



ライトの監督デビュー

TVシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」や「ワンダーウーマン(2017年)」のロビン・ライト(写真)が、主演作「ランド」で初めて長編映画のメガホンを取ります。彼女の演じる役柄は、悲しみに暮れ、これまでの生活を捨てて世間から姿を消す主人公エディ・マティスです。女流弁護士として第一線で活躍していたマティスが、インターネットのサバイバリストの助言をきっかけとして、ワイオミング州ショーション国立森林公園の山小屋でたったひとり、自給自足の生活を始めます。狩猟や釣り、食物の栽培を学び、過酷な自然の中で生きるエディは、先住民のジョセフと出会うことで心のうちにある恐れと向き合い、自身の生きる意志を見出していくというストーリー。脚本は、ジェシー・チャタムとリズ・ハンナ(「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」)が書き、プロデューサーを務めるのはアリン・スチュワート(「ハドソン川の奇跡」)、ローラ・ケネディ(「ワンダーウーマン」)、ピーター・サラフ(「リトル・ミス・サンシャイン」)、リア・ホルツァー(「アバウト・レイ 16歳の決断」)らです。この夏、四季の美しいカナダのブリティッシュ・コロンビアでクランクインします。なお、TVシリーズも含めると、ロビンは「ハウス・オブ・カード 野望の階段」の6エピソードで監督を務めており、ばかりかドラマ部門でゴールデングローブ女優賞を受賞しました。そんな彼女を、カンヌ国際映画祭で「ランド」のセールスを担当するハンウェイ・フィルムズのガブリエル・スチュワートが、「ロビンは失意と苦痛を乗り越えた女性の旅の物語を語りたいということについて非常に雄弁かつ情熱的だわ。彼女が描こうとしているのはユニークでスケールの大きな映画体験であり、今のこの忙しい世の中だからこそ必要な単純素朴な人間性よ」と語っています。



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