いよいよ待望の夏休み映画シーズン到来です。5月中旬に一足早く公開されたブルース・ウィルス主演“フィフス・エレメント"、そして夏休みの「予行演習」と呼ばれる5月末のメモリアル・デー(戦没者慰霊祭)週末休暇に映画史上最多の全米3,024館でオープンし、すでに爆発的人気の目玉作品“ロストワールド”をはじめ、巨額の予算を投じて製作された大作が目白押し。そこで、これから公開される主立った映画を20本選び、順にダイジェスト版でお届けしましょう。 ![]()
(1997年6月1日)
夏のブロックバスター20選
“バディー”(コロンビア): 6月6日公開
病気のゴリラの赤ちゃんを引き取り、わが子のように育てる上流階級婦人と、400キロの巨大な大人に成長してしまうゴリラとの、奇妙ながら心打つ愛情を描いた映画です。“黒馬物語”の女性監督キャロライン・トンプソンが“動物は私の趣味”という本に基づき脚本も手がけた作品。(関連記事: 「1996年10月16日最新情報」、「1996年11月16日最新情報」)
“コン・エアー”(ブエナビスタ): 6月6日公開
極悪囚輸送機をハイジャックしたカラフルな凶悪犯と、そこへただ乗りして故郷に帰ろうとする仮釈放中の元囚人(ニコラス・ケイジ)が繰り広げる空中アクション・サスペンス。ジェリー・ブラッカイマー("ロック")製作の超ド迫力映画です。(関連記事: 「1996年6月16日最新情報」)
コン・エアー
スピード2
“スピード2/クルーズ・コントロール”(20世紀フォックス): 6月13日公開
新しい恋人(ジェイソン・パトリック)と休暇中のサンドラ・ブロックが豪華クルーズ船の旅を楽しんでいるところへ、突如として狂気の男にハイジャックされ、暴走を始めた大型客船。彼らの運命や、いかに?・・・・・・前作同様、ヤン・デ・ボン監督作です。(関連記事: 「1996年8月1日最新情報」、「1996年8月1日最新情報」、「1996年9月16日最新情報」、「1997年2月16日最新情報」)
“ベストフレンズ・ウェディング”(トライスター): 6月27日公開
7月25日に公開される“陰謀のセオリー”でもメル・ギブソンと共演するジュリア・ロバーツが主演、監督はP・J・ホーガン("ミュリエルの結婚")で、長年の親友であった男と女が、とつじょ結婚を巡って複雑な関係に・・・・・・ (関連記事: 「1996年7月1日最新情報」)
“バットマンとロビン”(ワーナーブラザーズ): 6月29日公開
ジョージ・クルーニーが新バットマンを演じるドル箱シリーズ第4弾、今回は悪役のミスター・フリーズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)とポイズン・アイビー(ユマ・サーマン)が話題の中心となっているほか、またまた監督を任されたジョエル・シュ−マーカー("評決のとき")の惰性を破る演出も見ものといえるでしょう。(関連記事: 「1996年5月16日最新情報」、「1996年8月1日最新情報」)
バットマンとロビン
メン・イン・ブラック
“シャル・ウィ・ダンス”(ミラマックス): 6月27日公開
日本で大ヒットした周防政行脚本監督作のアメリカ・デビュー。社交ダンスを通じて自己発見への道を究めるサラリーマンの哀愁が、どこまでアメリカ人の感性に訴えかけるか、劇場で観察したいと思っています。
“フェイス・オフ”(パラマウント): 6月27日公開
FBI捜査官(ジョン・トラボルタ)とテロリスト(またまたニコラス・ケイジ)が立場と顔をスイッチしてしまうアクション大作です。監督はジョン・ウー("ブロークン・アロー")とくれば、もう爆発や撃ち合いシーンが半端じゃないのはおわかりですね?(関連記事: 「1996年8月1日最新情報」、「1996年11月16日最新情報」)
“ハーキュリーズ”(ディズニー): 6月27日公開
“アラジン”や“リトル・マーメイド”などのヒットを飛ばしたチームの最新アニメ・ミュージカル映画。マスコミのヒーローとして見事に現代社会へ蘇ったギリシャ神話の英雄が、それを妬(ねた)む暗黒世界の神に・・・・・・声優はダニー・デ・ビート("バットマン・リターンズ")や古株チャールトン・ヘストン("十戎")で、物語を盛り上げています。
“メン・イン・ブラック”(コロンビア): 7月2日公開
去年の夏、映画市場を独占した感のあった“ID4(インディペンデンス・デー)”に主演したウィル・スミスが、今年は“逃亡者”のトミー・リー・ジョーンズと組み、またもや地球を守ります。傑作“ゲット・ショーティ”のバリー・ソネンフィールドが監督。(関連記事: 「1996年11月16日最新情報」、「1997年1月16日最新情報」)
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タイタニック”(パラマウント/20世紀フォックス): 7月2日公開
封切日は延期
製作費が2億ドルを越すといわれる、この歴史上の惨事を再現した大作は、現在もジェームズ・キャメロン監督("トゥルー・ライズ")による編集作業中。このアーティクルをお届けする間際になって予定変更の発表があり、残念ながら12月19日公開のクリスマス映画となりました。(関連記事: 「1996年9月16日最新情報」、「1997年2月16日最新情報」、「1997年4月1日最新情報」)
タイタニック
陰謀のセオリー
“コンタクト”(ワーナーブラザーズ): 7月11日公開
ロバート・ゼメキス監督("フォレスト・ガンプ/一期一会")待望の新作で、天文作家カール・サガンのベストセラーを基に、宇宙人との接触を描いたドラマチックな映画。北海道ロケもあり、僕がプレミアを心待ちにしているこの作品は、ジョディー・フォスター、マシュー・マッコナヒー("評決のとき")が主演しています。(関連記事: 「1996年8月16日最新情報」)
“ナッシング・トゥー・ルーズ”(タッチストーン): 7月16日公開
マーチン・ローレンス("バッド・ボーイズ")演じる犯罪者にカー・ジャックされた、ティム・ロビンス("ショーシャンクの空に")扮する鬱病(うつびょう)気味の広告代理店重役が、最後はマーティンを人質にしてしまう、「やぶれかぶれ」を意味する題名通りのドタバタ・コメディーです。“ナッティー・プロフェッサー”のスティーブ・オイデカークが監督と脚本を担当。
“エアー・フォース・ワン”(コロンビア): 7月25日公開
ロシアのテロリストが大統領専用機AFOをハイジャックし、自ら戦う羽目となった大統領役を、ハリソン・フォードはなかなか渋く演じているほか、危険にさらされたファースト・ファミリー救出を指揮するグレン・クロースの女性副大統領役も迫力十分です。(関連記事: 「1997年3月16日最新情報」)
“陰謀のセオリー”(ワーナーブラザーズ): 7月25日公開
タイトルの「陰謀説」を信じるタクシー運転手(メル・ギブソン)が、じっさいの陰謀に巻き込まれるアクション・コメディーで、監督は一連の“リーサル・ウェポン”を担当したリチャード・ドナー。ジュリア・ロバーツが猜疑心の強い捜査官役で共演しています。(関連記事: 「1996年12月16日最新情報」)
“コップランド”(ミラマックス): 8月1日公開
低予算映画ながら、ロバート・デ・ニーロ、レイ・リオッタ("不法侵入")、ハービー・カイテル("パルプ・フィクション")といった大物スターが共演しているほか、今までとはひと味違うシルベスター・スタローンの演技力(?)を引き出した新人監督ジェームス・マンゴルドの期待作。これら20本の中でも注目したい映画の一つです。(関連記事: 「1996年8月16日最新情報」)
“リーブ・イット・トゥー・ビーバー/ビーバーちゃん”(ユニバーサル):
8月1日公開
'60年代の人気TVシリーズを映画化したもので、“テルマ&ルイーズ”の気難しい旦那役を好演したクリストファー・マクドナルドがパパ役、'90年代のビーバー役は“パーフェクト・ワールド”のキャメロン・フィンリー。
“デスパレート・メジャース”(ワーナーブラザーズ): 8月8日公開
危篤状態の息子へ骨髄移植をするため、サンフランシスコ市警の刑事(アンディー・ガルシア)がようやく探し出した提供者(ドナー)は、なんと服役中の凶悪殺人犯(初代“バットマン”のマイケル・キートン)。移植手術直前、その男が病院から脱走し、アンディーは追跡を始めますが、瀕死の息子に残された時間は・・・・・・“運命の逆転”のバーベー・シュローダーが監督したサスペンス・スリラーです。
“スティール”(ワーナーブラザーズ): 8月8日公開
NBAのスーパースター“シャック”ことシャキール・オニール(L・Aレイカーズ)が、鉄の鎧で身を固めたコミック本のヒーロー、スティールに扮して悪を退治する子供向けアクション映画。(関連記事: 「1996年11月1日最新情報」)
“シーズ・ソー・ラブリー”(ミラマックス): 8月15日公開
ニック・カサベッテ監督("ミルドレッド")が、父親である故ジョン・カサベッテ監督("グロリア")の脚本“シーズ・デ・ラブリー”を映画化した作品。三角関係をテーマに、主演は本年度カンヌ映画祭主演男優賞を受賞したショーン・ペン("デッドマン・ウォーキング")とロビン・ライト("フォレスト・ガンプ")で、ジョン・トラボルタも友情出演しています。(関連記事: 「1996年11月16日最新情報」)
“フードラム”(MGM/UA): 8月29日公開
1930年代にニューヨークのハーレムを巡り、ダッチ・ショルツのマフィアとバンピー・ラッセル率いる黒人ギャングが起こした抗争のドラマです。アンディー・ガルシア、バネッサ・ウィリアムス("イレイザー")、ローレンス・フィッシュバーン("ティナ")主演。
暑い夏を舞台に繰り広げられるブロックバスター合戦、ハリウッドそして全米を吹き抜けるサマー・ムービー・フィーバーは今年も白熱しそうです!
いま公開されている戦争捕虜のドラマ“パラダイス・ロード”が好評のオーストラリア人監督ブルース・ベレスフォード("ドライビング・ミス・デイジー")は、長年の夢だった“グッドバイ・サイゴン”が期待されながらも暗礁に乗り上げてしまいました。というのは、“ファーゴ”で今年のオスカーを受賞する前、彼が推薦した主演候補フランシス・マクドーマンドを製作側の20世紀フォックスは認めず、プロデューサーのリチャード・ザヌック("ドライビング・ミス・デイジー")からフランシスへ電話で断らせ、製作を無期延期にした経緯があります。アカデミー賞を受賞したからと今さら再交渉はできないスタジオの意地と、先の“パラダイス・・・”で日本軍の捕虜収容所内で苦境に立つ女性役を絶妙の演技でこなしたフランシスを是非とも欲しいブルースの思惑が、結局は妥協点を見いだせなかったのでしょう。ロサンゼルス在住のアメリカ女性とベトナム女性の友情を描いたこの作品、僕も脚本を読みましたが、なかなかの秀作です。なんとか問題を解決し、あの“ドライビング・・・”のような素晴らしい感動作を作って欲しいと願っています。
喧嘩はやめて!
不況だといわれようが、あいかわらず国際線ロビーで目立つのは日本人の観光客です。ただ、西海岸を訪れる大勢の日本人が、せっかく映画のメッカへ来ていながら、行くところといえばユニバーサル・スタジオの人混みばかりではワンパターン。そこで、初めてのかたも馴染みがあるかたも、映画ファンなら楽しめそうな穴場をいくつか紹介しておくので、参考にして下さい。旅行社が定めた日程で行動するだけでなく、次回はフラリと「映画ルーツの旅」も面白いかもしれませんよ!
“ハリウッド最前線”お薦め、オプション・ツアー
ハリウッド・エンターテイメント博物館
所在地: ハリウッド 入場料: 7ドル(学生4ドル50セント)
電話番号: (213)465-7900映画関係のメディア、技術、インターアクティブな音響効果舞台やフィルム編集スタジオ等から構成された3つの棟は、まさに映画製作行程の縮図を見ているよう。“スタートレック・ネクスト・ジェネレーション”のセットがあったり、1936年当時のハリウッド地図を展示したガラス・ケースなども興味を引かれます。毎年、違うテーマで催されるメイン展示は、現在“ア・デイ・イン・ザ・バックロット”つまり「屋外撮影所での一日」と題され、“フォレスト・ガンプ/一期一会”や“アンタッチャブル”からの小道具や衣装が楽しめる趣向です。
デビー・レイノルズ・ハリウッド映画博物館
所在地: ラスベガス 入場料: 7ドル95セント
電話番号: (702)733-22431993年にオープンしたこの博物館は、映画メモラビリア(忘れがたい品物)収集家でもある往年のスター、デビー("ボディーガード")が長年かけて集めたコレクションの集大成という感じです。1970年のMGMオークションから集め始めた彼女のコレクションは現在3,000万ドルの価値があり、個人では世界一と言われています。彼女自身が主演した1963年度の名作“不沈のモリー・ブラウン”や“7年目の浮気"、"クレオパトラ”といった映画の衣装だけで、展示品の数は3,000を下りません。また、運がよければ、ちょくちょく顔を出してはサイン会や歌を披露するデビーと会えるかも・・・・・・!?
リバラチ博物館
所在地: ラスベガス 入場料: 6ドル50セント
電話番号: (702)798-5595日本では知名度に欠ける故リバラチですが、生前は華麗な衣装とド派手なパフォーマンスで映画やショーで活躍し、ピアノ・ショーマンとして永く人気がありました。その御殿のような博物館を作ったリバラチ自身、当初は自分が住むハリウッド・ヒルズの豪邸をミュージアムに改装したがっていたのを近所の住民から反対され、ミニ・モールを改修した今の場所で開設したわけです。圧巻は、10万個のオーストリア産ラインストーンをあしらった重量70キロの黒ミンクのマントや、全体をクリスタルと鏡張りで仕上げたグランド・ピアノ!・・・・・・エルトン・ジョンやプリンス顔負けのきらびやかさが売り物だったリバラチ、館内は隅々まで彼の本領が発揮されています。
ジェームス・ディーン・ギャラリー
所在地: インディアナ州フェアモント 入場料: 3ドル75セント
電話番号: (765)948-3326最後は、少し遠いですが、僕も憧れた「ハリウッドの永遠のスター」ジェームス・ディーン・ギャラリーです。ファン必見のこの博物館は、24歳の若さでこの世を去ったディーンの出身地、中西部インディアナ州の田舎町でビクトリア調家屋を改造して作られました。彼が育った家はすぐそばにあり、“ジャイアント”のブルー・ジーンズや“理由なき反抗”の真っ赤なジャケットなどの衣装が展示された館内は、ディーンの豊かな芸術性を窺(うかが)わせる数々のスケッチ他、ファンなら鳥肌が立ちそうな感動を覚える小じんまりとした宝庫です。
(1997年6月1日)
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