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前回ご紹介したキーラ・ナイトレイと同じく英国人のクライヴ・オーウェンは、1964年10月3日コヴェントリーで生まれ、小学校の校内劇「オリバー」でアートフル・ドジャー役を演じたのがきっかけとなって俳優を目指します。結果、「ヴルーム(1988年)」でイギリスの映画デビューを果たした翌年にはアメリカのTV映画へ出演し始めるものの、芽が出るまでの下積生活はけっして短くありませんでした。その後、数多くのイギリス映画やアメリカのTV映画へ出演し、「ベント(1997年)」などの主演映画もありながら、ほとんど無名のままであったオーウェンですが、こうした状況は「クルーピアー(2000年)」のアメリカでのヒットを境に一変します。とつじょ第二のショーン・コネリーとして注目された彼が、続く「ゴスフォード・パーク(2001年)」や「ボーン・アイデンティティー(2002年)」で着々と俳優としての地盤を固めてゆくのです。
そして、アンジェリーナ・ジョリーとの共演作「すべては愛のために(2003年)」や「ブラザー・ハート(2004年)」などは失敗したいっぽう、マイク・ニコルズ(「卒業」)監督作「クローサー」が大成功を収め、遂にオーウェンはゴールデングローヴ助演男優賞を獲得するばかりか、アカデミー助演男優賞へもノミネートされます。
主演作「キング・アーサー」のヒットがやはりこの年(2004年)で、スターの地位を確固たるものとした彼はまた、ピアース・ブロズナンに代わる次期ボンド役の最有力候補と、当時もっぱらの噂でした。いざ幕を開けると、ボンド役こそダニエル・クレイグへ引き継がれていましたが、オーウェンはオーウェンで、フランク・ミラーの劇画を映画化したロバート・ロドリゲス(「スパイ・キッズ」)監督の話題作「シン・シティー(2005年」をはじめ、ジェニファー・アニストンとの共演作「すべてはその朝始まった(2005年)」など、自らのペースを崩していません。
翌2006年も、ピーター・セラーズの往年の人気シリーズをスティーヴ・マーティンが引き継いだコメディー「ピンクパンサー」、子供を生めなくなった西暦2027年の人類を描いたSF「トゥモロー・ワールド」、銀行強盗事件と係わるサスペンス「インサイド・マン」と、それぞれの主演作はジャンルが異なり、そこへオーウェンの姿勢の一端を窺(うかが)えるのではないでしょうか?
オーウェン同様、長年の下積生活を経た末に獲得したスターダムという点で共通しているのが、ケビン・コスナーやジョージ・クルーニーです。彼らの選択する主演作とか、そこでの演技に一種独特の余裕のようなものを感じるのは、そういった過去の体験が反映されているからだと思います。その印象は、オーウェンの最新作「シューテム・アップ(2007年)」や「エリザベス:ゴールデン・エイジ(2007年)」を見ると、ますます色濃くなってきたようです。(2008年5月)
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