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(1998年11月1日)          




実りの秋

さあ、今年も数々の話題作が封切りを控えた感謝祭(サンクス・ギビング)からクリスマス休暇にかけての秋シーズン到来です。そこで、各スタジオが火花を散らすブロックバスター作といえば・・・・・・


“ジョー・ブラックをよろしく” (11月13日公開)

この1934年度作“明日なき抱擁”のリメイク版では、ブラッド・ピットが死神を演じます。ストーリーは他界した若者へ憑(とりつ)き金儲けや世俗的な楽しみを味わう死神が、権力者(アンソニー・ホプキンス)の娘(クレア・フォーラニ)を恋し、人の命を奪うことを再考するという内容です。監督は“セント・オブ・ウーマン/夢の香り”のマーチン・ブレスト、11月8日の東京国際映画祭で世界に先駆けてプレミア公開されます。(関連記事:
「1997年6月16日最新情報」「1997年10月16日最新情報」「1997年11月1日最新情報」「1998年1月1日最新情報」)

“ラストサマー2” (11月20日公開)

昨年7,200万ドルを稼ぎ出したティーン向けホラー映画の続編。オリジナルでの轢き逃げ殺人事件を忘れようと、南洋の小島へバケーションに出かけたジュリー(ジェニファー・ラブ・ヘウィット)と仲間の高校生は、またもや「お前達が何をしたか知ってるぜ」という手紙に悩まされます。人気ポップ・シンガー、ブランディーの映画デビュー作とはいえ、オリジナルを書いたケビン・ウィリアムソンが超多忙で抜けたため、ストーリーは弱くなるかも? (関連記事: 「1998年2月16日最新情報」「1998年9月16日最新情報」)

“バッグズ・ライフ” (11月20日公開)

"トイ・ストーリー”の画期的なCGアニメが評判だったピクサーとディズニーの第2弾です。傲慢なイナゴの独裁へ反旗を翻し、ノミ軍団やテントウ虫と結託して戦いを挑む勇敢な蟻(声:ケビン・スペイシー)の物語は、4年の歳月と“トイ・・・”より12倍パワーアップされたコンピューターを駆使して完成しました。いま公開中の"アンツ"と比較するのも面白そうですね! (関連記事: 「1998年1月1日最新情報」「1998年2月1日最新情報」)

“エネミー・オブ・アメリカ” (11月25日公開)

優雅な暮らしを楽しむヤッピー弁護士(ウィル・スミス)は、国家安全保障委員会の大物(ジョン・ボイト)の陰謀で、ある日突然逃亡生活を強いられます。CIAとFBIの追跡をかわしながら、潔白を証明すべく謎の元スパイ(ジーン・ハックマン)の助けを借りて奔走するうち、次々と暴露されてゆく政府の陰謀。製作ジェリー・ブラックハイマー、監督トニー・スコット("ファン"・"クリムソン・タイド")の強力アクション・コンビへスミス主演とくれば、大ヒット間違いなしの目玉映画です。(関連記事: 「1997年8月16日最新情報」「1997年12月16日最新情報」「1998年8月1日最新情報」)

 


“ベイブ、都会へ行く” (11月25日公開)

1995年、人間の言葉を喋る豚ベーブを主人公にヒットしたオリジナル版の続編。今度は農場から舞台を移し、農場主ホゲットの経済危機を救うため都会へ出稼ぎに来たベイブの冒険談で、オリジナルのチャーミングな演出をみせたジョージ・ミラー("マッドマックス”シリーズ)が今回も製作と監督を兼ねます。

“サイコ” (12月4日公開)

ヒッチコック不朽の名作を、“グッドウィル・ハンティング”のガス・バン・サント監督が忠実に再現した究極のスリラーです。このリメイク版では、アンソニー・パーキンスとジャネット・リーのはまり役であるノーマン・ベイツと女性旅行者を、現在売り出し中のビンス・ボーンと、“リターン・トゥー・パラダイス"での共演者アン・ヘイシが演じます。あの有名なシャワー・シーンは、どう蘇るのか、今から興味が尽きません。(関連記事: 「1998年6月1日最新情報」)

“ユー・ガット・メール” (12月18日公開)

"めぐり逢えたら”ではピッタリ息の合ったところを見せたトム・ハンクスとメグ・ライアン、そして脚本監督のノラ・エフロンが再び組んだこのロマンチック・コメディーは、ジェームズ・スチュアート主演の1940年度作“桃色(ピンク)の店”のリメイク版。インターネットのチャット・ルームで知り合った商売敵の本屋の恋物語が、トム、メグ、ノーラの「マジック・タッチ」で、今回はどこまでヒットするか大いに期待が持てます。(関連記事: 「1998年6月1日最新情報」)

“マイティー・ジョー・ヤング” (12月18日公開)

1949年当時のハイテク技術を生かして製作された同名キングコング映画の現代版です。身長5メートルの巨大なゴリラ、ジョーは、心優しい動物学者("タイタニック”のジム・パクストン)がカリフォルニアに設営した保育環境地域へ移されます。そこで彼を悪用しようと企む人間に誘拐され、檻を破ったジョーはハリウッド大通りを席巻して大暴れ・・・・・・と、ジュラシック・パークを彷彿させる展開で、“ジュラシック・・・”の特撮を手がけたスタン・ウィンストンの手腕がここでも光っており、監督は“トレマーズ”で巨大なイモ虫を活躍させたロン・アンダーウッド。(関連記事: 「1998年1月1日最新情報」)

“シン・レッド・ライン” (12月25日公開)

1962年に出版されたジェームズ・ジョーンズのベストセラー小説を、テレンス・マリック監督("天国の日々")が8年がかりで脚色しました。ショーン・ペン、ウッディー・ハレルソン、ジョージ・クルーニー、ジョン・トラボルタ、ビル・プルマンや、期待の新人エイドリアン・ブローディーなどのオールスター・キャストでガダルカナル攻防戦を再現した3時間の大作です。オーストラリアでの撮影は、実践さながらの過酷な日々だったそうですが、“プライベート・ライアン”に先を越された感はなきにしもあらず? (関連記事: 「1997年3月1日最新情報」「1997年7月16日最新情報」「1998年1月1日最新情報」)

“ステップマム(グッドナイト・ムーン)” (12月25日公開)

実生活で親友同士のジュリア・ロバーツとスーザン・サランドンが、この作品では別れた亭主("アポロ13”のエド・ハリス)の若き新妻、そして連れ子の養育を巡って彼女と対立する臨死の前妻を演じます。クリス・コロンバス("ホーム・アローン")監督が、「離婚」という状況下で最後は感情の壁を乗り越えて「友情」を見つける2人の女性の葛藤を描いた、女性ファンを魅了しそうなクリスマス映画です。「継母」を意味するタイトルは、離婚社会アメリカの象徴といえるかもしれません。

“シビル・アクション” (12月25日公開)

公害の犠牲となった8家族を自費で弁護し、元凶である大企業へ立ち向かう法廷弁護士の物語。ボストン郊外で起こった実話に基づき、“シンドラーのリスト”や“ミッション・インポッシブル”の脚本を担当したスティーブ・ザイリアンが監督、ジョン・トラボルタが初の弁護士役へ挑戦します。

“パッチ・アダムス” (12月25日公開)

もともと自殺願望癖のある精神異常者でありながら、笑いとユーモアが持つ治癒力に目覚めて医師となるハンター・パッチ・アダムス博士の面白おかしい伝記です。主演はこのところ医者役づいているロビン・ウイリアムス、“ライアー・ライアー”のトム・シャディアック監督のもと、彼の演じる風変わりな精神医が巻き起こす笑いのエピソードやいかに?(関連記事: 「1997年2月16日最新情報」)

“ファカルティー” (12月25日公開)

"スクリーム”などのティーン向けホラー映画で一躍売れっ子となったケビン・ウィリアムソンの脚本を、タランティーノ門下生ロバート・ロドリゲス("フロム・ダスク・ティル・ドーン")が監督します。最近人気のジャンルでヒットは確実と予想される、秋の目玉映画の一つです。教師殺害事件で揺れる高校を舞台に、ウィリアムソン・タッチの洒落たホラー旋風が吹き荒れます。





災い転じて・・・

"スピード”で一躍注目を浴び、“あなたが寝てる間に・・・”でAリスト女優の仲間入りをしながら、“ネット"、"スピード2”の不調以来、停滞気味のサンドラ・ブロック、このところ心機一転を図っているようです。住み慣れたロサンゼルスからテキサス州オースチンへ引っ越した彼女は、“評決のとき”の共演をきっかけに恋人同士と噂のあるマシュー・マッコナヒーがテキサス州出身でもあり、いよいよ結婚かなどと囁(ささや)かれています。“微笑みをもう一度”の撮影で訪れた素朴な田舎町オースチンをすっかり気に入ったサンドラは、ここへドリーム・ハウスを建てる決意をし、いま豪邸の建設工事が進行中です。先月(10月)の中旬に開催されたオースチン映画祭へは、主演にマシューを起用し彼女自ら出資プロデュースした短編映画“メイキング・サンドイッチ”が出品され、お揃いで出席した2人はフェスティバルへ華を添えていました。“スピード2”の悲惨な結果が人生の転機になったと語るサンドラは、「災い転じて福となす」べく、私生活だけでなく、女優としても納得のいく企画を厳選するようになったとか。それが反映してか、先月封切られたニコール・キッドマンとの共演作“プラクティカル・マジック”は、なかなか好評です。また、彼女が製作へも意欲を燃やしていることは、先の短編以外、“微笑み・・・"で製作総指揮を務めたり、現在1,200万ドルの予算で犯罪ドラマ“ガン・シャイ”をプロデュース中といえばおわかりでしょう。引退間際、最後の大捕物を強いられるDEA(米麻薬取締局)囮捜査官の葛藤を描いた“ガン・・・"、自分も端役で出演する他、主演に大物リアム・ニーサム("ロブロイ")を引っ張ってくるあたり、辣腕プロデューサーとしてサンドラの才能が窺(うかが)えます。当初、「近所の姉ちゃん(ガール・ネクスト・ドア)」っぽいイメージで売り出した彼女の素朴な人柄は、僕も大好きです。オースチンへの引っ越しや、意欲的に製作へ乗りだしたことが転機となり、また一皮剥けたアーチストに成長するよう祈って・・・・・・!





タイタニック・シンドローム!?

去年の夏を予定していた“タイタニック”の公開が年末までずれ込みながら大成功を納めたジェームズ・キャメロン監督の影響か、はたまたトム・クルーズとニコール・キッドマン夫妻主演のスリラー、“アイズ・ワイド・シャット”を2年がかりで製作しているスタンリー・キューブリック監督の影響か、最近は撮影スケジュールの大幅な遅れが目立ちます。それらの企画の一部を拾ってみると・・・・・・


“ディープ・エンド・オブ・ザ・オーシャン”

原作は少年誘拐事件を描いたジャクリン・ミチャードの著書で、主演のミッシェル・ファイファーとウール・グロスバード監督("ジョージア")が編集に拘(こだわ)った結果、今年9月の公開予定は来年春へ持ち越されました。数シーンを追加し、現在、最後の仕上げに取りかかっています。

“グロリア”

故ジョン・カサベッテ監督の名作をシャロン・ストーン主演のリメイク版ということで早くから話題を集め、このページでも何度か登場している企画です。去年の12月に撮り終わりながら、上映中の“ワン・トゥルー・シング”や、先の「実りの秋」で紹介した“ステップマム”といった女性向け映画ラッシュ、そこへ皮肉にもシャロン自身の主演作“マイ・フレンド・メモリー”との衝突を避けるためタイミングを逃し、封切りまであと数ケ月はかかりそうな気配です。(関連記事: 「1997年1月1日最新情報」「1997年10月1日最新情報」)

“サーティーンス・ウォーリアー”

マイケル・クライトン("ジュラシック・パーク"、"コンゴ"、"スフィアー")の数あるベストセラー小説では、バイキングを巡る歴史の解釈という学術的な興味から書かれた異色の作品が“北人伝説(1976年)”です。それを映画化した“サーティーンス・ウォーリアー”は、アントニオ・バンデラス主演で年内の封切りが決まり、去年の11月に撮影も完了しています。しかし、編集段階でそうはいかなくなってきました。撮影中、バンデラスが背中を痛めて重要なシーンを逃したジョン・マクティアナン監督("ダイハード"、"レッドオクトーバーを追え!")は、どうしても撮り直す必要があると主張し、製作スタジオのタッチストーンは承諾せざるを得なくなって、いま作業が進んでいます。クライトン小説“エアフレーム”の映画化では、やはり監督を予定されているマクティアナン、たまたま故郷を目指すバイキング一行へ加わった一介のアラブ王朝大使が最後は「13番目の戦士」として類人猿と戦うまでの冒険アクションをどう描き出すか、クライトン・ファンならずとも公開が待たれる映画です。



(1998年11月1日)

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